Episode162 ／ 遺伝するもの ページ15
目が覚めて身体を起こすと、私の周りにみんなが寝ていた。
いつの間にかノブナガとウボォーも合流していたようで、広いはずのホールが狭く感じる。
｢起きたのか｣
『おはよー団長。ごめんね、寝ちゃって』
起きているのは団長とフェイタンだけ。
二人で私が渡した本を読んでいるらしい。
多分皆さんが想像するような、仲良さげな感じで。
『何が書いてあった？』
｢読んでないのか、おまえ｣
フェイタンは首をこてん、と傾げて言う。
めちゃくちゃ可愛いです
『私文字の読み書き苦手なんだよね、未だに。だから昔少し読んだだけでもう覚えてないんだよねー。』
｢そういえば、初め来た頃文字書けなかったな。｣
『そうそう、読みは生活してる内に覚えたんだけどさー。』
あの家でシゴトしか役割がなかった私に文字の読み書きを教えてくれる人はいなかった。
でもそれは流星街で育ってる旅団のみんなも同じ。
｢こっち来い、読んでやる｣
『やった、ありがとー』
実は昨日団長に渡したのは、もしかしたら読んでくれるかもなんて下心があったからなんだけどねー
団長に要約してもらった内容は、大体私の身体に起きていることと同じようなことだった。
念についても書いてあったらしく、団長にいくつか質問された。
｢最後の質問。お前自分の発、作るつもりないのか？｣
『いちいち能力使い分けるのに人格変えれないし、普段使うのも遺伝みたいなもんで、私が考えたやつじゃないし。だから、いい案が浮かんだらつくるつもり。』
私がそう言うとフェイタンは目を細めた。
｢念の遺伝なんて初めて聞いたね｣
｢特異な種族はあると読んだことはあるが…現実で見たのは俺も初めてだ。｣
団長もそれに賛同した。
意外と蜜月の存在って裏世界の人でも知られてないんだよなー。多分、遠い血縁の人が隠していんだと思うけど。
会ってみたいな、自分以外の蜜月。
そのとき、ふっと後ろに人の気配が現れた。
そして首に当てられた刀。
｢よぉA。ちょっと相手しろよ｣
思わず私の口角が上がる。
『ノブナガ私に負けて怒りそうだからやだー』
｢…おめぇ、見ないうちに口が達者になったなァ｣
『は？いつもどーりだけど？』
私がその一言を言い終わる前にノブナガの刀に念が纏われた。
お互いに距離を取って、ノブナガは刀、私はベンズナイフを構えた。
Episode163 ／ 新たな発見→←Episode??? ／ 補足説明【必要のない方は読まなくて大丈夫です！】
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作者名：ろりお | 作成日時：2019年8月17日 22時
