[鬼滅] 逃げるが勝ちと私が言う (ページ14)

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第十三話／鬼ごっこは突然にページ14

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これは柱合会議が開かれる三日前、Aが藤屋敷で目を覚ました頃のこと。

「鳴女、十二鬼月を集めろ」

ベン、ベベンベンベベン

いくつもの琵琶の音が鳴り響き、一人、また一人と鬼が集う。

上弦は慣れたように悠然と振る舞い、下弦は戸惑い、声を上げる。

「なんだここは！」

「何が起きた、んだ」

下弦の面子はころころと入れ替わる。
逆に上弦は100年あまり一度も変わらない顔ぶれだ。

上弦と下弦ではそれくらい力の差がある。

わーわー喚く下弦の鬼の1人が、上弦の参、猗窩座によって上半身を吹っ飛ばされた。

強者のみが生き残る世界なのだ。

そして更にざわめく下弦たち

そこにひとつの声が響く。

「騒がしい、耳障りだ」

刹那、上弦から下弦まで一列に並び跪く。

彼らの目線の先には、幼い少年の姿をした鬼舞辻無惨。彼らの絶対的存在である。

「お前らを呼んだ理由はひとつ」

「この女のガキを探せ。見つけても絶対に傷つけるな」

鬼舞辻が片腕を上げれば長く伸びた触手がそれぞれの鬼へと突き刺さる。

そこから入り込む鬼舞辻の血から、鬼舞辻の記憶が継がれていくのだ。

「そのガキに下弦の壱が殺られた。そいつは稀血の中の稀血、極めて私に近い血をもつ。鬼殺隊にでも入られたら至極厄介だ」

決して逃がすな

そう言い残して鬼舞辻は消え、続いて響く琵琶の音で無限城からは誰もいなくなった。

本格的な〝鬼〟ごっこが始まる

＊＊
時は進んで柱合会議の日の亥の刻(21時-23時)

『ぶえっくしょん……はぁ。風邪でもひいたかなー』

ここ最近くしゃみが酷い
滅多に風邪なんてひかないんだけどなー

少し肌寒い気がして、藤屋敷のおばあちゃんに貰った羽織りの頭巾をかぶる。

背中に背負った日輪刀の柄も隠れるから一石二鳥だね！

ところでさっき無視したけど、「女捨ててる」って言ったやつ前に出ろや

誰がおっさんみたいなくしゃみだって？？

余計なお世話だっつーの

自然育ちの私にはそんな女子力と呼ばれるものは持ち合わせていませんから！？

っていうか、くちゅん、ってくしゃみする人ってもう女通り越してると思う私。

少々伝授して欲しいくしゃみの仕方だよね

私の今と足して２で割れば丁度いい感じのさー、「くしゅんっ」そうそうそんな感じになるよね

いやー、分かってくれる人がいて良かった……って

『え？』

「…え？」「……」「甘露寺、これ羽織れ」

大事だからもう一回言うことにする、うん。

『え？？』