嘘 ページ12
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その華奢な背中が廊下の角を曲がって、俺の視界から消える。
ふ、っと力が抜けて、壁際にもたれかかるようにずるずると座り込んだ。
そして、改めて、
『あー...終わった』
終わってしまったのだと、そう認識する。
悲しいという気持ちも、悔しいという気持ちもあるが、不思議と涙は出てこない。
只々自分の心の中にあった何かが消えてしまって、大きな穴を作った。
俺が選ばれると思っていたわけではないが、選ばれないと思っていたわけでもない。
その位、仲は良かったし、彼奴も俺のことを意識してくれていたみたいだし...
とそこまで考えて『あ゛ーーー！！』と声をあげながら片手で頭を掻きむしる。
未練たらたらかよ、カッコ悪い。
仲が良かったのは俺だけじゃない、彼奴は俺以外の奴とも仲は良かったし、他の3人のこともきっちり意識していたはずだ。
やはり、心の底では何処か期待してしまったのだろうか。
......どちらにせよ、カッコ悪い。
≪『俺の事、ちょっとは男として見てくれた？』≫
最後の質問も、なかなかに未練の残ったものだった。
≪『...見てたよ』≫
≪『沢山沢山、考えた、範太が彼氏だったらって』≫
≪『範太のこと、ちゃんと男として見てたよ』≫
そう言って笑う彼奴を見て、なら良かった、だなんて、思ってもないことを口にした。
最後の最後に嘘をついた。
それなら俺はもう十分だ？
良くねえよ、んなこと微塵も思ってない。
俺の事、男として見てくれてんなら、意識してくれてるなら、
......“彼氏だったら”って、考えてくれてたなら
沢山のタラればを並べて、考えて、言葉にしようとして、
でも、それでも...結局彼奴にぶつけることはできなかった。
結局、俺は彼奴にカッコ悪いとこを見せたくなかっただけ
掴んだ手首が細くて、今にも折れてしまいそうで驚いて
ぽんと押したその体が思った以上に軽くて、また驚いて
こんな小さな体で、沢山の人の気持ちをしょい込んで、板挟みになって、辛かっただろうな。
すげえよ、ほんと。
嘘を並べて、格好つけて、虚勢を張っていた俺だったけど。
頷いて、駆け出した彼奴の背中を見ながら、ぽつりと呟いた言葉だけは俺の本心だった。
『...頑張れよ、A』
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出水紫苑 - 爆豪ぉぉぉぉおぉおぉぉお！！！ (2023年2月22日 16時) (
レス) @page23 id: 461bd7d92a (このIDを非表示/違反報告)
ももたろう(プロフ) - 本当に好きです.........最高すぎます(´TωT｀)心がぎゅうるんってなって（語彙力）涙なしでは見られませんでしたぁぁぁ(´；ω；｀) (2022年5月20日 22時) (レス) @page28 id: 8a120375b5 (このIDを非表示/違反報告)
隣の緑 - お、推しが、爆豪派閥が尊い！aya様、貴女は、神様ですか？ (2021年8月3日 13時) (レス) id: 01d7461e9f (このIDを非表示/違反報告)
しょう - 感動して涙出ました。 (2021年7月18日 23時) (レス) id: 427116d3c5 (このIDを非表示/違反報告)
ニナ(プロフ) - さ、最推しと付き合ってくれてありがとうございます、、。まじでこの小説好きです。出てくる人みんな好きすぎて尊いですありがとうございました。 (2021年3月9日 0時) (レス) id: fec159ffdc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aya | 作成日時：2020年4月23日 19時
