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藤ヶ谷さんがこちらに向かうのを確認すると、階段の裏側に隠れた。

…そろそろ降りて来たかな?

そーっと覗くけど藤ヶ谷さんはいない。

あれ?

階段を見上げたけど、藤ヶ谷さんの姿はなかった。

おかしいな。

また階段の裏側に隠れて、顔だけこっそり出して見てると後ろからふわっと抱きしめられた。

「つかまえた」

振り返ると嬉しそうに笑う藤ヶ谷さんが。

「えっ!何で?!」

私から離れると、してやったりな顔で「反対側の階段から来たから、隠れてるのモロに見えてたよ」って。

悔しい。

けど、だからさっき入れ違いになったんだと納得した。

「かくれんぼが好きなんだね、Aちゃんは」

違うよ。藤ヶ谷さんだから。

こうやって笑ってくれるから。

「めんどくさい女ですよね、すみません…」

あんまり調子にのらないようにしないと、呆れられちゃうかも。

「めんどくさくないよ」

藤ヶ谷さんは私の頬を優しく撫でた。

「何度でも探してあげるから」

「100回でも?」

「うん」

「…世界中でも?」

「うん」

「嘘」

「嘘じゃないよ。だけどちょっと大変だから、出来るだけ俺の側で隠れて下さい」

「ふふ、はい」

「良かった」

にこっと笑った後、腕時計を見る藤ヶ谷さんに胸が痛む。

「…時間ない感じですか?」

「少しなら大丈夫だよ」

少しってどれくらい?

…とか言ったらウザい?

言ったらダメかな。

モヤモヤ。

「だいたい10分くらい」

えっ。

驚く私を見て笑う藤ヶ谷さん。

「何でわかったんですか?私が考えてること」

「Aちゃんのことなら何でもわかっちゃうんだよね、俺」

「ほんとに?」

「うん」

「じゃあ今何考えてるでしょうか」

「う〜んとね、お腹すいたなぁ、かな」

「違う!」

「わかった。疲れたからもう眠たいなぁ、でしょ」

「もう!全っ然違うし」

藤ヶ谷さんが私の手を握った。

手のひらからじんわり暖かくなり、気持ちが満たされていく。

「もっとずっと一緒に居たいな」

少し悲しげな顔をして私を見る藤ヶ谷さん。

「…正解です」

「答えたわけじゃないよ。今のは俺の気持ち」

胸がぎゅーっとなった。

「もうすぐ紅葉見に行けるんだから我慢です」

「はは、だね」

苦笑する藤ヶ谷さんを見上げた。

「…今のは私の気持ち」

私がそう言うと、藤ヶ谷さんは繋いだ手を持ち上げて、私の手の甲にキスをした。

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ayachoko(プロフ) - ゆいゆいさん» ゆいゆいさん(*^^*)お忙しいのに貴重なお時間で読んでくださり感謝の気持ちでいっぱいです(T-T)更新のペースが早くて大変だと思いますのでゆっくり読んでいただければと思います(。>д<)ビジネスホテル、アレがないですもんね(笑)でもいかにも不倫っぽい場所かも(^^; (2017年9月27日 7時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいゆい(プロフ) - 太輔くんの主ちゃんは俺のだよっていうセリフにキュンキュンしました!!でも、一線越えたのがビジネスホテルで色々心配ですね笑 最近忙しくてお話しに追い付けていなかったりしますが、これを読むのが本当に楽しみになってます(^.^) (2017年9月27日 1時) (レス) id: 1462413259 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - sioriさん» sioriさ〜ん(*≧∀≦*)お忙しい中来て下さりありがとうございます!(*^^*)みっくんと穏やかに暮らしていけませんでした。欲に負けました、私←なりきり(笑) みっくんがいるのに贅沢すぎですよね(^^; (2017年9月24日 21時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - 紀輔さん» 紀輔さ〜ん(*≧∀≦*)んふふ、私BLは藤北だけは読んでるのです…( 〃▽〃)紀輔さんの文、すごく読みやすくて羨ましいです(T-T)北藤のプレゼントのお話、にやけました〜( 〃▽〃)攻めのみっくん、最高でした( 〃▽〃) (2017年9月24日 21時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - ピンクマカロンさん» そして、『あの夜君に抱かれたら』の藤ヶ谷さんですが、なんであんなに甘くてえろい藤ヶ谷さんが書けるんですかっ!もうドストライクでニヤニヤしちゃいました( 〃▽〃)更新、楽しみにしています!コメント見ると他の方も待ってるみたいですしねっ(*≧∀≦*)←圧力(笑) (2017年9月24日 21時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ayachoko | 作成日時:2017年9月12日 20時

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