ヤンデレ親友×藤ヶ谷 太輔 ページ7
なぜかある日突然、それは始まった。
小さなことだけど、教科書が破られていたり。
俺の物がことごとく壊されていった。
「つーかそれ、北山が気づかないうちに自分で破っちゃったとかじゃねーの？笑」
「んなわけあるかよ」
「ボケちゃったんじゃん？」
同じクラスの二力はそう言って茶化していたのに、
その数日後には、俺が話しかけても気まずそうに去って行くようになった。
それは二力だけじゃなくて、他にも今まで仲良くしていた奴らは手のひらを返したように俺から離れていくようになり、
自分が何かしてしまったのではないかと、自責の念に囚われていった俺は、
以前とはうってかわって、根暗野郎になってしまった。
新しい学年になり、もちろん友達なんかいない俺はポツンと席に座っていた。
話し相手もいない俺はぼんやりとしていると
ふと、男子の集団の中の一人に目がいった。
「藤ヶ谷、今年も同じクラスじゃん」
「よろしくな！特に勉強っ笑」
もてはやされている人物は、クラスの違う俺でも知っている人物だった。
「俺もついてくのに精一杯だけど、それでも良ければいつでも聞いてよ」
女の子に話しかけるような言葉遣いで野郎共にも優しく話しかける藤ヶ谷。
誰にでも同じように接する藤ヶ谷は男女問わず人気があった。
それは俺にも例外ではなく。
「北山、おはよう」
ふわりと優しい笑顔は俺にも向けられた。
「…おはよ」
何日かは挨拶するだけだった。
でもある日、個人的に話す機会ができた。
誰もいない教室で項垂れる自分。
──体操服がない。
これじゃ体育に出ることはできない。
相変わらずいじめのようなものは続いていた。
ただ、去年と違うのは、
物を壊されているのではなくて、
俺の物が少しずつ、無くなるのだ。
「…何なんだよ」
静かな教室に俺の掠れた声が響いた。
ため息をついて振り返ると、
すぐ後ろに藤ヶ谷がいた。
「っ、びっくりした」
驚いて後ずさりする俺に藤ヶ谷は更に一歩近づいた。
近ぇよ、距離が。
同じ男子高生のはずなのに、藤ヶ谷からはどこかいい香りがした。
「どうかしたの？」
いつものように、まるで女子に話しかけるかのように優しい声で俺に声をかける藤ヶ谷。
「…体操服が、なくて」
「忘れたの？」
「…うん」
何となく、盗まれたというのは恥ずかしくて俺はそう嘘をついた。
「ぶはっ」
何故か突然吹き出す藤ヶ谷。
「、なんだよ」
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作者名：ayachoko
| 作成日時：2023年5月9日 21時
