溺愛ロジック F side

残酷なほどに甘い ページ21

実際のところ、Aは俺に対してかなり好印象をもってくれているようだった。

話しかければ嬉しそうに返事をして、優しく微笑めば頬を染める。

はじめに出会った時からこうしていれば良かったんだと思った。

…出来ればもうAを傷つけたくない。

そう思った俺はやはり正攻法でいこうと思った。

だけどAはそんな俺の気持ちに反してまた玉森と距離を縮めているようだった。

「Aちゃんてやっぱり玉森くんが好きなんですね〜」

「…勝手に入るなって言わなかった？」

舞原が当然のように準備室の椅子に腰をかけている。

「先生、まずくないですかっ？また玉森くんと二股されちゃうかも〜」

「構わないよ、Aは必ず俺のところに戻ってくるから」

Aがまた玉森に惹かれるなら、俺はまたその間違った道を力ずくで正してあげるだけの話だ。

…結局、前と同じだな。こんなことなら無駄にプラトニックなんか貫いてないで、早く抱けば良かった。

「ほら、早く帰れよ？下校時刻過ぎてるんだから」

「はぁ〜いっ♪」

舞原を追い出し、溜め息をついた。

失望と諦め。

ごめんな、A。

また君を泣かせてしまうことになりそうだ。

でもわかって欲しい。

こんなに歪んでいるけれど、俺は君を、君だけを愛しているんだ。




時々考える。

もしAが目が見えなくなったら。

自分の足で動けなかったら。

そしたらほんとにそれこそ俺を必要としてくれるんじゃないかと。

確実に、誰にも奪われずに、Aを手にいれたい。

そう思うとやはりはじめの計画通り、二人だけの世界を作り上げなければならない。



そんな俺の黒い気持ちを浄化するように、素直で純粋なA。

適当に嘘を並べて、俺とAが付き合っていたと伝えるとあっさり信じた。

人を疑うということを知らないんだろうか。

だけどとても愛しい。

信じてくれるなら、傍にいてくれるなら、俺はもうそれだけでいいよ。







さあ、遊びはここまで。

これからは邪魔者の排除にかかろうか。

確実に二人だけの世界を作るために。

ね、A。

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