ひよこ #161 ページ18
No side
嫌な、予感がする。
魔王と呼ばれた男、朔間零はそう感じていた。今回のライブでは絶対に
自分の代わりに新しく会長になった御曹司。あいつは、何か匂う。
そんな予感がしてならなかった。
「 音響トラブル...!? 」
渉、奏汰、夏目とライブを後ろの方の席で観ていた。が、その嫌な予感は的中する。
Aがこのライブをとりもっているのに、音響トラブルだと?おかしい。
そこまで考えて、ハッとする。
__Aの身に、何か起こった?
ざわつく客席の声など、耳に入らない。がたりと席を立つと3人が驚いたように零を見た。
「 零にいさん...?どうしたノ? 」
夏目が少しだけ心配そうに、そう尋ねる。零は自分のなかにある予想に頭がいっぱいで、短くこう答えるしかなかった。
「 A、は 」
A、それだけ言えば察したようだった。慌てたように立ち上がり、機材などを管理している部屋へ走る。
零たちが勢いよくドアを開ける。そこには、俯き座り込むAと【fine】の連中がいた。
夏目はその様子を見て、前に一歩踏み出した。
「 お前ラ...!!Aさんに何しタ!! 」
「 ...何も、していないよ。彼女が誤って音楽を止めるボタンを押してしまっただけ。
__ただ、それだけだ 」
なんの感情も含まない声で、英智は言った。その悪びれない様子に、夏目はぎりっと歯を食いしばる。
再び夏目が口を開こうとすると、ずっと俯いていたAがふらりと立ち上がる。
しかし、依然俯いているその顔の表情は読み取れない。
「 A、... 」
誰かが一言、そう漏らした。
ゆっくりと、不安定な足取りでAはドアに向かって歩いていく。そんな彼女に、誰も声をかけることができなかった。
ふと、英智の前で足を止める。
そして、ゆっくりとうつむかせていた顔を上げた。
「 ___ごめんね 」
少しでも触れたら壊れてしまうような、笑顔だった。
必死に涙が出ないように、誰も傷つかないように、無理やり上げた口角はぎこちない。
一言、そう言うと日和たちや零たちを通り抜けて彼女は姿を消した。
.
896人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ワルツ - 素晴らしい (2020年6月21日 19時) (レス) id: cb21dd1047 (このIDを非表示/違反報告)
あるみかん(プロフ) - 透さん» ありがとうございます!更新速度ころころ変わりますが、どうぞよろしくお願いします。 (2020年4月14日 18時) (レス) id: 4fe8f05fec (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - とっても素晴らしい作品でした!!更新頑張ってください…!待っています(*^^*) (2020年4月3日 2時) (レス) id: a39e9ef544 (このIDを非表示/違反報告)
あるみかん(プロフ) - あんころ餅さん» ありがとうございます!一気読み大変だったと思います、お疲れ様です笑 ご期待に添えるよう頑張ります。 (2020年3月23日 22時) (レス) id: 4fe8f05fec (このIDを非表示/違反報告)
あんころ餅 - こんちには!!ひよこのワルツ最初っからイッキ見してしまいました!!とても面白いでス!!これからの展開にワクワクしてます!!更新大変かもしれないけど頑張って下さい!!他の作品もとても面白いでス!! (2020年3月23日 15時) (レス) id: cda0ebd32a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あるみかん x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=48be83eaada675e79ed496ea5cdf8f4f...
作成日時:2019年8月2日 23時