やったれ猫ちゃん ページ42
＜東谷目線＞
｢牛山ぁ、暇よ｣
｢お前なぁ……ちったぁ逃亡中って事を自覚しろよ｣
尾形に話を振っても無視されるので、ここは意外とノリが良い牛山に話を振る。現在、私達は少し休んでいて、話が無いのだ。杉元は杉元で私を何故か警戒していて、アシリパと話そうとすると唸ってきそうなのだ。お前は番犬か？と聞きたい。
いや、この前アシリパに話そうとして、唸られたので、ため息を吐いたら尾形が
『てめぇはその娘の犬か？』
と、笑いながら聞いていて、それで喧嘩してたなぁ…。ちなみに、尾形は‘野良猫’って言われてたなぁ……。てか、皆動物に例えるの好きだな。
ヤマシギを休憩時間なので罠を仕掛け、待ってから早数時間。最早休憩なんぞ忘れてヤマシギを待っていた。
そして、獲れたのが二羽だけだった。
｢ヤマシギが取れた！｣
｢でも……二羽、だけだねぇ…って、ちょっ｢杉元も羽むしるの手伝え｣…えぇ？」
｢あんまり獲れなくて御機嫌斜めだな｣
アシリパってこの中じゃ感情豊かなのか、一際目立つ。いや、身長とかもあるが…。そんな事を考えていると、ガサガサと茂みから尾形が出てきた。そういえばいつの間にか消えていたな。
｢……ん｣
｢これは…え、まさか尾形が獲ってきたのかしら？｣
｢三羽も………良くその銃弾で獲れたもんだ｣
｢ﾌﾝｯ!｣
牛山も、私も、どや顔の尾形に腹が立つが、ヤマシギを獲ってきてくれたので言うに言えない。
｢流石兄様！！素晴らしい腕でしたよっ｣
｢ちょ、突然大きな声出さないでよ…｣
｢そうですよ、貴方がうるさかったので手元が狂ってしまった時もありました｣
｢酷いですね兄様！でもそんな兄様も凛々しい……｣
駄目だこいつ。尾形を何だと思っているのだろうか。しかし、周りを見れば勇作が見えていないアシリパ、杉元、牛山の三人が何やってるんだ？と言う視線で見てくる。いや、杉元が聞いてきた。
｢何だお前ら……二人して何してんだよ｣
｢あら、そう言えば言ってなかったわね…｣
｢ここには尾形のおｺﾞﾑｸﾞｩｯ!!?｣
｢……言うんじゃねぇよ馬鹿。｣
｢俺にも知られたくない一つや二つはあるってもんだぜ？｣
突然尾形に口を押さえられたと思ったら、馬鹿呼ばわりされるわ、何か重い空気にするわ、本当に何なんだこの男！
｢ﾝｰ!ﾝ!っ、はぁ…！！｣
｢さっさと離しなさいよ！｣
少し苦しかったのでもがいて無理矢理手を退かす。
ジッ、と私を見つめたって何も無いし、あげないから！！！
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作者名：文揚げ | 作成日時：2021年10月4日 17時
