[閑話]その頃の杉元さん ページ26
｢白石が食われたァ！！！？｣
イトウに食われた白石は川に引きずり込まれる。そこに男が助けに入り、幻の巨大魚と共に打ち上げられる。
｢んおっ、アシリパか｣
その男はキロランケと言う。杉元達はその後温まると同時に話をしていた。第七師団だと名乗るキロランケに警戒したが、鶴見の小隊とは限らないので、今の所は何もしない。
｢アシリパは何でこの男達と行動しているんだ？｣
｢……私の相棒だからだ。｣
｢ちなみに、こっちは役立たずの白石だ｣
｢ふふん｣
｢何と言う白々しい顔ッ！この役立たず！｣
その後も入れ墨を見せたり、共に行動する事になったりと何やかんや合った。その後はアシリパが住まうコタン(村)へ戻る。
｢……お前、谷垣か！？｣
楽器を奏でていた男に目をやると、それら見慣れたとは言えないが、知らない仲では無いアイヌ文化の衣装を着た谷垣源次郎の姿があった。
｢杉元、此処は危険かも知れない｣
｢……どうしてだ？｣
｢鶴見中尉と、尾形上等兵…それに、謎の女が居た。と言うより来た｣
｢｢っ！？｣｣
｢おいおい、まさかアシリパさんの事に気付いたってのか｣
｢源次郎ちゃん、その女ってどんな人だった？ねぇねぇ〜！｣
｢黙れ白石っ！｣
アシリパが白石をストゥ(制裁棒)で殴っている内に、話は進んでいく。
曰く、尾形はその女と共に行動していた。尾形は脱走兵扱いで、此処に鶴見も来ていた。
女は東谷と言うらしい。下の名前は知らないが、アイヌの人間では無い事は確かだったようだ。
｢……成る程な｣
｢また面倒な事になりそうだぜ｣
｢杉元、分かっているだろうが｢無暗な殺生はしない、でしょ？分かってるよアシリパさん｣……なら良いんだ」
｢取り敢えず、札幌に行こう｣
｢札幌には知り合いの銃火器を扱う店があってな｣
話し合いは続き、そのまま早朝まで休み、馬で札幌へ向かう。
札幌で待ち受ける変態の強襲なんて、予想しないままに……。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：文揚げ | 作成日時：2021年10月4日 17時
