愛は故郷にありました。 (ページ35)

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主治医の到着1 ページ35

潤サイド

ふうぅー。
思っていたよりも時間かかったな。

時計を見ると夕方5時を回っていた。

昨日の夜上司に事情を説明したら予想外に担当患者さんの術後ケアを病院外のドクターから依頼されたんだからすぐにでも行きなさいと言われ朝一の新幹線で東京を出た。

術後1週間も経ってない身体でこの距離を荷物もって一人で移動したわけでしょ？
考えただけでも恐ろしい。無事でいてくれて本当に良かった。

岩田さんの強靭な精神力と体力とにのへの感謝で俺のこころはいっぱいだ。

フェリーからの景色はとても美しく癒される。
東京で疲れた心も体も癒したかったのだろうと岩田さんの気持ちが理解できた。

あと10分ほどで石黒島に到着する。
にのか看護師の清水さんが迎えに来てくれるとのこと。

外の空気を吸いに出てみる。
あー気持ち良い。もう目の前に沖が見えてきた。

こっちに向かって両手を振っているのはにのだな。
相変わらず小さい、笑。

でもここの島の人たちの健康を一人で責任持ってるってすごいことだなと感心した。

和「遠くまでありがとね。まさか今日来てくれるなんて思ってなかったよ。」

「俺もびっくりだよ。で、岩田さんの熱はどう？下がった？」

和「昨日ほど高くはないんだけどそれでも38度。」

「解熱剤使った？」

和「いや。本人がそこまで辛くないって言うから何も投与してない。水分補給はこまめにチェックしてるけど。」

「そっか。術後熱ってわけじゃないけどでも体には大きな負担になる手術だからどうしても術後1か月以内はあれこれ不調でてくるよ。」

和「そうなんだ。最初診た状態が結構ホラーだったからこっちもびくびくよ。でも専門医に診てもらっておけば安心だからよろしくお願いね。」

「なに、そんな改まって。こっちこそ岩田さんのこと救ってくれてありがとう。で、どういう関係なの？」

和「幼馴染だよ。っていうか島で育った同年代の人たちはみんな幼馴染。」

「へー。Aって呼ぶからもっと親しい間柄なのかと思ったけど、違う？」

和「潤くんが想像してるような関係じゃないよ。そもそももしそうなら手術したこと知らないとか病気のこと知らないのがおかしいだろ？」

「まあそっか。」

和「はい到着しました。Aには潤くん来ること言ってないからきっとびっくりすると思うけど。」

「大丈夫だよ。ちゃんとグローブも膣鏡も持ってきた。」

和「新幹線とフェリーが荷物検査なくて良かったね。怪しさしかない。」