愛は故郷にありました。 (ページ28)

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術後の経過２ページ28

Aサイド

おいしかった。
ゆみちゃんの手作りの照り焼きチキン、甘さが程よくて平らげちゃった。

ごちそうさまでした。手を合わせて頭を下げる。
トレイを返しに行くのはリハビリの一環。ベッドから降りるのが意外と大変なんだけど。

部屋を出ると私服に着替えたゆみちゃんが見えた。

「おいしかったです。ご馳走様でした。」

ゆ「良かったです。」

「今日も一日ありがとうね。診療の補助と往診の付き添いと私のお世話で大変でしょ、毎日。」

ゆ「好きな仕事なんで忙しいほど嬉しいんです。」

かわいい笑顔。こういうのを白衣の天使っていうんだろうな。

見送るついでに診療所の外まで出る。

ゆ「明日の朝ごはんは洋食バージョンですよね？」

「うん、お願いします。お疲れさまでした。」

ゆっくり部屋に戻ると和くんがまじめな顔をして椅子に座っていた。

和「調子良さそうだね？歩くのも支えなしでできるようになってるし。順調で何より。」

「おかげさまで。ありがとうね。」

和「お、素直だな、なんか調子狂うわ。じゃそのついでにどこの病院で手術したのか主治医の先生は誰なのかそろそろ教えてくれる？」

医者として必要な情報だろうけど和くんは私のことを思って今まで聞かないでいてくれた。

「手術したのは東京のJ大学病院。何の手術したのかは知ってるでしょ？」

お腹の中見てるんだもん、当然わかっているはず。

和「うん。緊急事態だったとは言え俺と清水さんにあんな風に知られたのは不本意だったと思う。申し訳なく思ってるよ。」

ごめんと頭をさげる。

「ううん、いいの。改めて話すほうがきっと言い出しにくいだろうから。」

和「なんで手術したのかは教えてもらえる？それと手術のあとに何か治療計画があったのかも。」

「手術のあとは何も治療の予定はなかったよ。」

和「そっか、じゃ手術で完治だったのね。まあ傷口開くは縫合は緩むはわりと大変だったけどな。」

ちょっと意地悪な顔をしてくる。

「ごめんね迷惑かけて。」

和「迷惑じゃないけどびっくりしたよ本当に。やることが大胆すぎるんだよAは。で、なんの病気だったのかは教えてもらえるの？」

子宮を取ったこと後悔はしてないんだけどやはり口にするのは気が重い。

和「後悔してるのか？」

「後悔はしてないよ。ただ人生の大きな選択肢の一つがなくなっただけ。」

和「大丈夫か？」

また優しいまなざしを向けてくれる。