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師範が夕食を取っている向かいでお茶を飲んでいると、師範が居心地悪そうに口を開いた。
「さっきからなに人の顔ジロジロ見てやがんだァ?」
師範は勘違いをしている。私が見ているのは師範の顔ではない、おでこだ。
「石頭から受けた頭突きはどうでした?」
「ぶッ!!?」
「やだ!お米飛ばさないでくださいよ!」
「ゲホッ…!テ、テメェが突然そんなこと言うからだろォがァ!」
ははーん。師範ってばその出来事のことちょっと気にしてるんだぁ。可愛いところもあるじゃないですかぁ!
「実は今日竈門炭治郎くんに会ってきました!妹の禰豆子ちゃんとも!」
その名前を出すと、師範の目がカッと見開かれる。
「だからどうしたァ。」
「いいえ?」
師範ってば露骨に反応しちゃって。そんなにあの2人のことが嫌いなのだろうか?まあ、鬼を滅するという師範の執着心はとてつもなく、隊内一と言っても過言ではない。
「変なこと言ってねェだろうなァ?」
「はい!師範の代わりに、禰豆子ちゃんを刺してしまったことは私が謝っておきました!」
「おいコラァ!何勝手なことしてやがんだァ!」
やだちょっと待ってブチ切れじゃん。そのままだとお箸折れちゃいますよ?お箸にだってお箸の人生が…ああ!
「御館様が認めたんですから私はそれに従ったまでです。鬼であろうと彼女はもはや隊員同然なんですから。」
「チッ…」
「舌打ちしないでください。でも、」
師範は折れた箸を机に置き、湯飲みを手に取った。
「師範が真っ先に禰豆子ちゃんを刺したと聞いて、私は安心しているんです。」
「あ?」
「私の目は間違っていなかった。師範の弟子になれて良かったです。」
こんなことを炭治郎くんが聞いたらきっととても怒るに違いない。妹が刺されて良かったなんてことはないのだから。だけど、鬼を許さないという師範の信念の強さを知れて、私としては嬉しいのだ。
師範のその揺るがない心、悪鬼滅殺という信念を貫こうとするその姿は…
「師範はとてもかっこいいです。」
だばーっと、師範の口元と湯飲みの隙間からお茶が溢れる。
「師範!師範?!お茶が溢れてます!」
「熱ッ!?」
「なに一人で遊んでるんですか!あーあー、もうこんなに溢して!雑巾を持ってくるので待っててください!」
手元にある薄い布巾を師範に押しつけ立ち上がると、「すまねェ。」と、師範がボソっと呟いた。
ちゃんと謝れるじゃないですか。
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瑠璃瑚(プロフ) - 釈迦様さん» お恥ずかしい変換ミスです…作中一通り見直して訂正はしたのですが、まだ直っていない箇所が有ればご指摘頂きたいです。 (2020年2月19日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - しらとぅさん» なんとお優しい、、ありがとうございます!>< (2020年2月19日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
釈迦様 - 師範が市販…°。:(°ε°)ブフッ! (2020年2月17日 0時) (レス) id: bccea59c19 (このIDを非表示/違反報告)
しらとぅ(プロフ) - 瑠璃瑚さん» いえいえ!誰でもミスはありますよ!これからも頑張ってください! (2020年2月8日 20時) (レス) id: 785ac6cfee (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - しらとぅさん» ご指摘ありがとうございます!お恥ずかしい変換ミスをしてしまいました、、>< (2020年2月8日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃瑚 | 作成日時:2020年1月11日 14時