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チュンチュンと小鳥が囀る心地の良い朝。ああ、こんな天気の良い日は縁側でボーッとでもしてゆっくりと一日を過ごしてェ。…のに。
「外出禁止だっつってんだろーがァ!!風邪引いてんだから大人しく寝とけや!!」
コホコホと咳き込む弟子を引きずりながら屋敷の廊下を歩く。
「いいえ!私は風邪など引いて…ケホッ!」
「引いてんだろーがァ!馬鹿野郎!」
ようやく俺の風邪が完治したというのに、今度はAが風邪を引いた。
「私は今日任務があるのです!もう身支度をして出発しなければなりません!離してください!」
ジタバタと暴れるAを部屋まで引きずり戻し、無理矢理にでも布団の中へと押し込んでやる。
「ケッ。この事については既にお館様のところに鴉を飛ばして報告済みだァ。お前の代わりには別の隊員が入る事になったから気にすんじゃねぇ。」
「ひいん…師範の馬鹿ァ…」
俺程重症ってわけではないが、咳も出ているし熱もある。まあ、俺に付きっきりで看病をしていたから俺が移したと言っても過言じゃない。その事については悪いことをしたと思っている。だが…
「分かりました。任務のことは仕方ありません。ですが、家事だけはどうか私にお任せを!」
と言ってAは布団から這い出ようとする。
「寝てろっつってんだろォ!」
「あうっ!」
Aの額を人差し指で突くと、Aは弱々しく布団に倒れ込んだ。こんな体調の奴がよくもまあ家事を任せろだなどとぬかす。任務に行くなど持ってのほかだ。
「お前の仕事は早く風邪を治すことだァ。粥でも作ってやるから大人しく寝ておくんだなァ。」
「ふん。こんなの一日で治してやりますからね!」
ようやく諦めがついたのか、Aは大人しく布団に潜り深く布団を被った。
Aの部屋を後にし台所で粥を作っていると、どことなく懐かしい気持ちに陥る。匂いや動作、早く良くなって欲しいという思いが、過去の日常を思い出させるのだ。昔はこうやって弟や妹たちの世話をしたんだっけか。あの日以来、誰かの世話を焼くなんてことは無いに等しい生活を送ってきたのに、突然舞い込んできたAという存在によって、まさかまたこんな生活を送ることになるとはなァ。
Aの部屋に戻ると、Aは少し苦しそうに息をしながら眠りについていた。起こすのも悪いと思い、布団のそばに鍋に入れた粥を置いて置き手紙を添えると、俺はそっと屋敷を出た。
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瑠璃瑚(プロフ) - 釈迦様さん» お恥ずかしい変換ミスです…作中一通り見直して訂正はしたのですが、まだ直っていない箇所が有ればご指摘頂きたいです。 (2020年2月19日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - しらとぅさん» なんとお優しい、、ありがとうございます!>< (2020年2月19日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
釈迦様 - 師範が市販…°。:(°ε°)ブフッ! (2020年2月17日 0時) (レス) id: bccea59c19 (このIDを非表示/違反報告)
しらとぅ(プロフ) - 瑠璃瑚さん» いえいえ!誰でもミスはありますよ!これからも頑張ってください! (2020年2月8日 20時) (レス) id: 785ac6cfee (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - しらとぅさん» ご指摘ありがとうございます!お恥ずかしい変換ミスをしてしまいました、、>< (2020年2月8日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃瑚 | 作成日時:2020年1月11日 14時