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寝室にお粥を運びに入ると、師範はコホコホと咳き込み苦しそうに熱い息を吐いていた。
こりゃ重症だな。
「師範、少し起きれますか?」
声を掛けると、怠重そうに師範は布団から身を起こす。おでこに乗せていた布巾がパサリと布団に落ち、それを拾い上げる。
「どうぞ食べて下さい。」
「…いらねェ。」
「駄目です。」
師範と視線をバチバチと合わせるも私は譲る気はない。
「あら、師範ってばもしかして!なんだ、そういうことなら早く言ってくださいな。」
「あァ?」
「私に食べさせて貰いたいんですね。師範は甘えん坊さんですねぇ。いやいいんですよ!そういう時だってありますよね?まあ、私にはありませんけど。」
お粥を匙で掬い、「はい、あーん。」と師範の口元にまで持っていってやれば、師範は私の手をガッと掴んだ。
「ふざけんなァ!自分で食えるわァ!!」
師範は私から匙と粥の入った食器を奪うと、ガツガツとそれを食べ始めた。私ってば天才じゃない?
師範はあっという間に粥を食べ終え、私のことを睨んだ。
「A、後で覚えとけよォ。」
「はいはい。だから怖くありませんって。それより師範、食後の薬を飲みましょう。」
「あァ?薬ィ?」
「はい!私が調合した薬です!」
ブフォッと師範が飲んでいたお茶を吹き出す。師範はゲホゲホと咽せながら、私を凝視した。
「俺を殺す気かァ?」
なんと失礼な!私がどれだけ師範に尽くし忠誠心を誓ってきたことか!!なのにそれをこんな言葉で返されるだなんて。
「私は真面目に言っているんです!私の家は病院で両親も医者でしたし、蟲柱様にも薬学について教わっているので安心してください!」
実際私も病院の手伝いはしていたし、両親からも医療関係の知識は教わってきた。それに、今は蟲柱様にもお世話になっているのだ。是非とも安心して頂きたい。
「安心できるかボケェ。」
「けっ。臆病者が。」
「あ゛ァ?!誰が臆病者だコラァ!」
師範ってば本当に単純だな。思わずクスクスと笑いが溢れてしまう。
「なに笑ってやがる!」
「いえいえ。やっぱり薬は怖いですよねぇ。いや、私は臆病者ではないので薬を怖いなどと思ったことはないんですけどね。」
「飲めばいいんだろォ?!クソがァ!!」
師範は私から薬を奪うと一気に口に含み、残っていたお茶でそれを飲み込んだ。
「はいよく出来ました。じゃあまた寝てください。」
師範の扱い天才では?
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瑠璃瑚(プロフ) - 釈迦様さん» お恥ずかしい変換ミスです…作中一通り見直して訂正はしたのですが、まだ直っていない箇所が有ればご指摘頂きたいです。 (2020年2月19日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - しらとぅさん» なんとお優しい、、ありがとうございます!>< (2020年2月19日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
釈迦様 - 師範が市販…°。:(°ε°)ブフッ! (2020年2月17日 0時) (レス) id: bccea59c19 (このIDを非表示/違反報告)
しらとぅ(プロフ) - 瑠璃瑚さん» いえいえ!誰でもミスはありますよ!これからも頑張ってください! (2020年2月8日 20時) (レス) id: 785ac6cfee (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - しらとぅさん» ご指摘ありがとうございます!お恥ずかしい変換ミスをしてしまいました、、>< (2020年2月8日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃瑚 | 作成日時:2020年1月11日 14時