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チュンチュンと小鳥が囀る心地の良い朝。ああ、こんな日は日向ぼっこでもしてゆっくりと一日を過ごしたい。…のに。
「だから!駄目だと言っているでしょう!」
「あァ?!なんでテメェの許可がいるんだァ!」
「師範の弟子だからです!!」
「理由になってねェよボケがァ!おいコラ離せェ!」
師範の腰に後ろから抱きつき、玄関へと向かう師範の行手を阻む。それでも師範は怯むことなくズンズンと足を進める。
「だーめーでーすー!外出禁止!」
「うるせェ!今日は柱合会議があんだ…あ?」
「ぐえっ!?」
突然の重みに可愛げの欠片もない声が漏れる。私を引き摺ってでも進んでいた師範の足が止まり、師範はそのままフラフラと後ろ、つまり私に向かって倒れたのだ。
「あ゛ー…気分悪りィ…」
「だから安静に寝てろって言ってるんです!」
巷ではどうやら風邪が流行しているらしい。とはいえ我々鬼殺隊員たちは皆体力もあるし風邪など貰ったところで拗らせる者など居ないだろうと皆で笑い飛ばしていたのだが…
「あなたは今高熱があるんですよ?!病人なんです!」
「あァ?たかが熱ごときで…」
「たかが熱ごときで柱の俺が〜、とか言い出しでもするつもりなら容赦無くぶっ飛ばしますからね。」
「病人を労る気はねェのか。」
「病人の自覚を持ったのなら大人しく寝てて下さい。」
ごろんと私の上から転げ落ちた師範を引き摺って寝室まで運ぶ。「やめろォ、離せェ、」などと師範はブツブツ文句を言っているが聞き入れてやるつもりはない。そんなに柱合会議に出たいのか。
「心配には及びません。」
「あァ?」
「師範が高熱で倒れて柱合会議を欠席することは、先程鴉を飛ばしてお館様にも柱の皆様にも連絡済みです!」
クワッと師範の顔が目の前に現れる。
「A、お前何勝手なことしてやがんだァ?」
青筋を立て、目を、というより瞳孔をガン開いて凄んでくる師範だが、生憎とそれに怯える私ではない。師範のおでこを人差し指でツンと押せば、師範はフラついて再び背中から地に倒れ込んだ。
「歳下の女の子の指一本で倒れる人に凄まれたところで全く何も怖くありません。わかったらそのまま風邪を拗らせた原因でも考えてください。あと寝てください。」
師範を寝室まで連れ戻し、水で濡らした布巾を師範のおでこに乗せる。
「それでは私は何か軽食を作ってきますので。動いたら屋敷の甲虫売り払いますからね。」
釘刺しも完璧だ。
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瑠璃瑚(プロフ) - 釈迦様さん» お恥ずかしい変換ミスです…作中一通り見直して訂正はしたのですが、まだ直っていない箇所が有ればご指摘頂きたいです。 (2020年2月19日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - しらとぅさん» なんとお優しい、、ありがとうございます!>< (2020年2月19日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
釈迦様 - 師範が市販…°。:(°ε°)ブフッ! (2020年2月17日 0時) (レス) id: bccea59c19 (このIDを非表示/違反報告)
しらとぅ(プロフ) - 瑠璃瑚さん» いえいえ!誰でもミスはありますよ!これからも頑張ってください! (2020年2月8日 20時) (レス) id: 785ac6cfee (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - しらとぅさん» ご指摘ありがとうございます!お恥ずかしい変換ミスをしてしまいました、、>< (2020年2月8日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃瑚 | 作成日時:2020年1月11日 14時