検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:382,141 hit

35 ページ35

繋いだ右手に熱が集中する。自分の熱と、Aから伝わる熱が合わさって更に右手が熱くなる。

何でこんなことになってんだァ。しかも、Aは何も言葉を発さない。なのに、俺の手と繋がっている手には少しずつ力が込められて、俺の手を強く握っている。まるでそこに何かの意味が込められているかのように。



「やっぱり…」



Aがようやく口を開いた。

チラッとAの顔を見て、俺はギョッと目を見開いた。



「おい、どうした…ッ!」



なんで、そんな今にも泣き出しそうな顔をしてやがる。

普段のAらしからぬ表情を見て、焦りと困惑と苦しさで胸がグンと締め付けられる。



「柱の皆様の手は、とても硬い。」



ポツリとAが呟いた。



「水柱様と一日手を繋いで気付いたんです。あの方の手は、掌は厚く硬くて、指も指先も何度も豆が潰れて硬くなっていた。沢山の命を救ってきた努力の証。それは師範も一緒で、きっと他の柱の方も同じです。」



ギュッと、俺と繋がる手に力が入る。



「私には努力が足りない。」



そんなことは無いと、軽率には言えなかった。


冨岡から聞いた話。Aと冨岡が参加した今回の任務では隊員数名が戦死したらしい。任務で隊員が命を落とすことは珍しいことでは無いし、皆その覚悟を持って任務に参加している。ただ、Aにとってはそれは当たり前では無い。なにせよAは過去の任務において、Aと同行した隊員を戦死させたことは一度も無いからだ。


犬飼は自分が妙な血鬼術を食らって柱の俺の手を煩わせたことで、他の隊員が死ぬ羽目になったと酷く嘆いていた。


冨岡はそう言っていた。


こんな時、嘆いている弟子を相手に、歳下の女を相手に、どういう言葉をかけてやれば良いのか。小さくて柔らかいその手を包んで、何と声を掛ければ良いのか。



「お姉ちゃん!」

「わっ?!」



突然、前から走ってきた餓鬼がAに抱きついた。



「あれ、君は…」

「この前お姉ちゃんに鬼から助けて貰ったの!」



どうやらその餓鬼はAと顔見知りらしい。



「こら!鬼の話は内緒だって言ったでしょ。」

「えへへ!」

「えへへじゃないの。前にあげた御守りは?ちゃんと持ってる?」



鬼から救った餓鬼を相手にするAはいつものAのようで、少し安心する。餓鬼が御守りを持っているのを確認するとAは近くにいた親に餓鬼を引き渡した。



ちゃんと守れてるじゃねェか。

36→←34



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (284 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
754人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

瑠璃瑚(プロフ) - 釈迦様さん» お恥ずかしい変換ミスです…作中一通り見直して訂正はしたのですが、まだ直っていない箇所が有ればご指摘頂きたいです。 (2020年2月19日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - しらとぅさん» なんとお優しい、、ありがとうございます!>< (2020年2月19日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)
釈迦様 - 師範が市販…°。:(°ε°)ブフッ! (2020年2月17日 0時) (レス) id: bccea59c19 (このIDを非表示/違反報告)
しらとぅ(プロフ) - 瑠璃瑚さん» いえいえ!誰でもミスはありますよ!これからも頑張ってください! (2020年2月8日 20時) (レス) id: 785ac6cfee (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃瑚(プロフ) - しらとぅさん» ご指摘ありがとうございます!お恥ずかしい変換ミスをしてしまいました、、>< (2020年2月8日 20時) (レス) id: f99ae6b9f6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:瑠璃瑚 | 作成日時:2020年1月11日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。