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第196話「女王、レジーナ」夢主 ページ5

「__いいわ!てつだってあげてもよくってよ!」

女王は、そう云って楽し気に笑む。
其れから真剣な顔になると、私にQを預けると私の前に出る。

「……さがってなさい、いろは。わたくしもまだほんちょうしじゃないから……いろはをまもるのにちからをさくよゆうはないわ。」

私は、その小さな躰に、途轍もない力が宿っているのを感じていた。

「……“わたくしはじょおう、レジーナ。あいすべきたみをまもるため……このみをささげることをちかいましょう。すべてはひげきを、にどとうまぬために。”」

女王は幼子らしい舌の回っていない口調で、そう云う。
すると、女王の胸の辺りを彩っていた、私のリボンそっくりなペンダントが光りだし、やがて「それ」は女王を優しく包む。

「……手加減は出来ないわよ。悪夢?神?荒覇吐?結構ですわ。私が牧羊犬のように、使いこなしてあげましてよ。」

そう云い放った女王は、包み込んでいた光を吸い込んでいく。
光が全て吸収されると…女王は、私の良く知る姿に戻っている。
まるで、魔法の様に。

「余り、この姿は維持出来ないみたいだわ。いろはに力を全て授けた代償ね。……でも、其れまでに全て片付けてみせましょう。さぁ、私の可愛い可愛いいろはの敵に回ったこと……一生後悔するのね!!」

「蠢くもの全て」を標的にする筈の汚濁状態の中也さんは、ちらりと女王を見ると、そのまま何も居なかったかのように「悪夢」への攻撃を続行していた。

標的は全てではない、ということだろうか。
幾つか仮定は立つ。
例えば、「生命の宿っているもの」に限る、だとか「異能には適応されない」だとか。
……でも、それなら女王をスルーしたことに対する説明が付かない。
……だとしたら。

「……自分と同格以上だった場合、標的にしない……とか?」

証拠は無いが、仮説は成り立つ。
……と、今私はそんなことを考えている場合ではなく。

「悪夢」の再生を止めて、更に時折攻撃を仕掛けている女王を横目に、私は太宰さんの方を見て…それから頷いて、Qを抱き上げる。

太宰さんからの暗号(命令)は、たった一言。

「“逃げろ”。……本当に、太宰さんは過保護なんですから。」

私はQを優しく抱きしめると、心の中に暖かなものがゆっくりと、少しずつ広がっていくのを感じていた。

第197話「夢野久作という少年」夢主→←第195話「中原中也という男」夢主



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設定タグ:文スト , 中島敦 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:業猫 | 作成日時:2020年1月6日 15時

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