検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:5,872 hit

第152話「太宰さんへのお願い」夢主 ページ10

「……太宰さん、お願いが有るのですが。」
「なんだい、いろは。いろはからのお願いなんて珍しい……__」
「私が戦線から離脱することを許して頂きたいのです。」
「…何だって?」

私の真剣な言葉に、表情に……太宰さんは顔を歪めた。
私は続けて頭を下げた。
そんな私を見た太宰さんは、溜息を吐くと少し考えるような仕草をすると、私の肩に手を乗せる。

「……良いだろう、判った。なら……大丈夫だとは思うが、念の為姐さんの監視に回ってくれ。……出来るね、いろは?」
「勿論です。」
「なら……今すぐ行くと善い。二人は私と敦君で護衛しよう。」

任せ給え、と笑う太宰さんは、何時になく優しい顔で、私は気を遣わせてしまった事に気が付くのと同時に、周りに居る色々な人から愛されていることに気が付いた。

ナオミちゃんの言葉で、心の痞えが取れた事により、世界が澄んで見える様になったのに気が付く。

……嗚呼、私は今までどれだけのものを、ことを歪んで見ていたのだろう。

「……有難う御座います、太宰さん。」

私は顔を上げると、笑ってそう云う。
太宰さんの背後にいるナオミちゃんが、少し嬉しそうな顔をしていた。

三人から少し離れた所で一人寂し気に立ち尽くす敦くんは、ついさっきまでの私の様に呪いに囚われている様に見える。

私は声を掛けようとして、止める。

私は、彼を救う言葉を持ち合わせていないのが判ったから。
人を救うのは、何気ない言葉だと知っているから。

……それが、今の私には出来ないと感じてしまったから。

兎も角……こうして、私は単独行動することになったのだった。

第153話「金色夜叉と女王」夢主→←第151話「護りたいもの」夢主



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
4人がお気に入り
設定タグ:文スト , 中島敦 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:業猫 | 作成日時:2019年9月9日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。