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第185話「双黒の喧嘩」夢主 ページ43

私は胸が熱くなって、思わず少し涙ぐむ。
ポートマフィアは、合理化の権化だ。情なんて邪魔でしかない。
ずっと、そんな環境で、世界で生きてきた。
それは太宰さんや中也さんも同じで、私もお二方も、任務に情は持ち込まない。持ち込まないようにしている。
故に、優しいけれど厳しいお二方が、私の為だけに「優しい言葉」を紡いで下さったのだ。
「優しい微笑み」を、作って下さったのだ。

私はそれが嬉しくて仕方がなかった。

私は、口を開いた。
優しいお二方にお礼を云うためだった。
…けれど、私の感謝の言葉は顔を見せずに引っ込んでしまう。

「全く…ここ数年で最低の1日だよ。あと蛞蝓、いろはの隣を歩かないでくれる?」
「何で俺がこんな奴と…。と云うか青鯖、いろはに触るンじゃねェ。」
「……ほんと、何でそんな仲が悪いんですか。お二人が揃えば恐るるに足る敵など、そうそう居ないと云うのに。」

私の肩を抱く太宰さんと、其れを睨みつける中也さん。
そんな光景を目にした私の口から、感謝の言葉の代わりに顔を出したのは、大きな溜息であった。

と、その時、お二人は殆ど同時に扉のドアノブに手を伸ばす。
私を挟んで、偉大なる双黒のお二人はじっと睨み合っていた。

「俺といろはの隣を歩くんじゃねぇ。」
「中也が私達の隣に来たんじゃあないか。」

何時もの仕様も無い喧嘩が始まったので、私はもう一度大きな溜息を吐くと私が扉を開けることにする。
その直ぐ後ろで、お二人の口喧嘩はまだ続いていた。

いつも通りだ。
このお二人が揃えば、怖い物なんてない。
最恐で最強なのだ。
それは、間違いない。
だって、私はずっとすぐ後ろでお二人の…双黒の、活躍を見てきたのだ。支えてきたのだ。
けれど、そんなお二人は顔を合わせればすぐに喧嘩が始まる。
そんな何度も見てきた光景が、私にはとても大切で、護るべきものの一つな気がしていた。

第186話「眠り姫・壱」夢主→←第184話「双黒と女王」夢主



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設定タグ:文スト , 中島敦 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年9月9日 16時

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