第124話「尋問(前編)」夢主 ページ32
「えーと、大丈夫?」
私は、つやつやの肌をしながら死んだ様に机に突っ伏す国木田さんとソルにそう云った。
賢治くんはというと…ぐっすりと、すやすやと、気持ちよさそうに眠っていた。
何というか…強いな。
「全く、腑甲斐無いねェ…妾の能力が無きゃ、今頃揃って土の下だよ。」
「……有難う、与謝野姉さま。」
「まぁ、良いけど…」
私がお礼を云うと、与謝野姉さまは少し照れたような顔をしながら、目を逸らす。
「……具合は如何だ。」
「社長。申し訳ありません、俺が居ながら…」
「……佳い。少し出る。」
「でも、今外出は…」
敦くんは社長を呼び止めようとして、そう云うが…社長は、バタン…と扉を閉めると、行ってしまった。
「ハァ…ありゃ、相当鶏冠に来てるね。」
「?」
「……ソル、念の為護衛に。
状況を呑み込めない敦くんと共に頭上に?を浮かべていたソルに、私は命令を出す。
すると、ソルは少し頷くと、静かに、そして素早く…私がかつて教えた技術
…私も、負けてられないな。
「やぁいろは。」
「……太宰さん!太宰さんは無事でしたか?お怪我は…」
「大丈夫だよ。だから、先ずは私を触るのをやめようか…」
身体検査の様に、太宰さんの体をぺたぺたと触っていた私に、太宰さんは苦笑して私の頭を撫でながら、そう云う。
「……そういえば、如何したのですか、太宰さん。」
「嗚呼……そうだった。おいで、敦君、いろは。今から捕虜の尋問をするよ。」
「……!分かりました!」
「尋問、ですか?」
苦笑いしながら私達の会話を見ていた敦くんは、少し不思議そうに…そう、太宰さんの言葉を口の中で転がした。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年7月10日 12時