【文豪ストレイドッグス】もういちど。弐【中島敦】 (ページ6)

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第55話「籠の中の」夢主ページ6

「う……。」

頭が朦朧とする。
頭がガンガンとする。

首に、何やら違和感を感じて触ってみると…首輪の様な何かが、そこには有った。

……というか、ここどこだろう。
私はぼんやりと、まだ覚醒しきっていない頭でそんな事を考えていた。

嘗ての太宰さんの家の様に豪華なその部屋は、私が好きな雰囲気のものでまとめられている。
……私の為の部屋、なのかもしれない。

「……目覚めましたか。」
「一葉ちゃん……？」
「はい。手荒になってしまい、誠に申し訳ございません。彼には出来るだけ隠密に、と云ったのですけど……。」
「ここは？」
「マフィア内の、中原さんがいろはさんの為に用意した部屋、です。……嗚呼、あとそれから……基本自由ですが、この建物から出た時にはその首輪から麻酔が打たれますので。」

淡々とそう告げる一葉ちゃん。
……これじゃ、籠の中の鳥と変わらない。

「……ん？待って、今中也さんが用意したって。今は西の方に行ってるんじゃ……？」
「嗚呼、中原さんが手配したんですよ。報告によると数日以内には帰って来られるかと。」

資料らしきものをパラパラとめくりながら、そう答える一葉ちゃん。

私はこっそりと溜息吐いていた。
中也さんと太宰さんが会えば、絶対に喧嘩になる。

ましてや、太宰さんが地下牢に居るなんて。

「……では、私は他の仕事がありますので。」
「嗚呼、有難う、一葉ちゃん。」

私は笑って手を振り、部屋から去る一葉ちゃんを見送ったのだった。