第9話「試験」太宰治 ページ10
時は少し遡り、いろはを私達が保護し、マフィアに帰ってすぐの事だ。
「暁いろは。異能は防御系。私達マフィアには殆ど居ない異能の持ち主。彼女の異能はかなり強力なのを確認済み。……是非、マフィアに引き入れたいんだけど……どうですか、森さん?」
私と中也は、森さんに直接交渉しに来ていたのだった。
「……防御系。確かにあまり居ないが……攻撃系に対して少々魅力に欠けるな。直談判する程の理由が有るのだろうね?」
「えぇ……ただ攻撃を防ぐならば避ければ良いだけ。ですが、いろは……彼奴の異能は防ぐのみならず、反射させる事が可能です。上手く鍛えれば敵の攻撃を強化して返すという事が可能になる。」
「……つまり、作戦の幅が広がる、と……。そう言いたいのかね、中也君?」
「はい、その通りです。」
「どうだろうねぇ。感触はイマイチだった気がする」
「……まぁ、“試験”を受けさせるという所までは漕ぎつけたんだ。チャンスは作った。あとはいろはの力次第だろ」
俺らにはどうすることも出来ねぇ。
そう中也は肩をすぼめて言うが、あまり好感触だとは思っていないらしいことは伝わってくる。
何しろ“試験”を受け、入ってきたのは1%にも満たないのだから。
滅多に不安になどならぬ私も、彼女がマフィアに入れるのか、少し心配だった。
時は戻り、いろはは私の目の前で中也から贈られたばかりの清楚な雰囲気の服(因みに買ったのは中也だが選んだのは私である。)を着て、ご機嫌に中也と他愛もない会話をしている。
「……太宰さん、どうしました?」
ふと振り向き、私の名を呼ぶ。
その声や仕草からは、私への敬愛の意が伝わってくる。
「否、何でもないよ。もうそろそろお昼時だし、何処か美味しい店に食べに行こうか。」
こんなにも可憐で優しい少女を此方に引き込んで良かったのだろうか。
そんな迷いは、既に後戻りは出来ないと判断し笑って知らぬ振りをした。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
23人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
業猫(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます……修正しますので少々お待ちください;; (2020年6月4日 23時) (レス) id: 3f4322bc19 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 名字を設定しても、(名字)のままなんですけど.... (2020年6月4日 23時) (レス) id: 63ee3bf45b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:業猫 | 作成日時:2019年5月20日 18時