第38話「咎めぬ理由」夢主 ページ39
私が戻ってからの話は割愛させて貰う。
簡単に説明すると、私が戻ったのは既に『超推理』を使った後で、犯人たる杉本さんを問い詰めている所だった。
そして、混乱し拳銃を構える杉本さんを太宰さんに背中を(物理的に)押された敦くんが捉える等と云う一波乱の有った後(因みにいくら太宰さんとは云え、軽く拳で訴えかけた)、取調室で取り調べが行われた。
そして今は、帰る途中である。
私はいつもの様に書類を書いた後、太宰さん達と合流する。
どうやら、超推理は実は異能では無いという、真実を教えていたらしい。
「__二人は恋人同士だったのだよ。職場にも秘密のね。だから彼は彼女の顔を蹴り砕けなかったのだ。そうしないとマフィアの仕業に見せかけられないと判っていても」
「……素敵だなぁ。お互い、お互いを想ってたのが判るし。……いつか、私もそんな風に誰かを想いたいなぁ……。」
太宰さんの言葉に、私は思わずまだ見ぬ未来を想い描く。
私だって、普通の女の子のようにそんな夢をみる事もあるのだ。
「やぁいろは、事務仕事は終わったのかい……って駄目だよいろは!いろははずっと私と一緒なんだから!」
格好良く私に進捗を聞いてきたかと思えばあれが欲しい、と駄々を捏ねる幼子のように喚く太宰さんに、私は呆れたような笑みを浮かべた。
「勿論です。完璧に。……何父親みたいな事云ってるんですか。というか一緒に居たいなら死のうとしないで下さい。」
「わ、私は父親じゃない!最後まで一緒に居たいから心中に誘っているのに……。どうだい、改めて__」
「ごめんなさい。」
「酷いよいろは!私、未だ全部云っていないのに!!……と、茶番は此処までにして……。さて敦くん。これで判ったろう?」
「……何がです?」
一転、誰もが思わず見惚れてしまうような格好良さでそう云った太宰さんに、先程の茶番の事もあってか、敦くんは首を傾げる。
「乱歩さんのあの態度を、探偵社の誰も咎めない理由がさ。」
そう云い、太宰さんはニッカリと笑う。
「おぉい、太宰、いろは、敦!早く帰るぞ!僕の駄菓子が心配だ!」
「もう。推理してれば格好良いのに。」
「はは……早く帰りましょうか。」
「だね。」
夕暮れと幸福の中を、私達は探偵社に向かって歩いていた。
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業猫(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます……修正しますので少々お待ちください;; (2020年6月4日 23時) (レス) id: 3f4322bc19 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 名字を設定しても、(名字)のままなんですけど.... (2020年6月4日 23時) (レス) id: 63ee3bf45b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年5月20日 18時