第17話「月下獣(前編)」夢主 ページ18
倉庫まで半分程行ったところで、ふと思う。
……私、要らないのでは。
先ずは人払いをしておこう。
そんな結論に至った私は、辺りを見渡す為に、倉庫の上まで軽々と登る。
「……いろは?」
ふと、後方から声を掛けられ、振り返ると……そこには、外套を風にはためかせる芥川さんの姿が有った。
「……何故、此処に。」
「それは貴様の方だ。……何故、太宰さんと一緒ではない?貴様の任務は太宰さんの見張りの筈。何故、一人で行動している。」
芥川さんを睨みつけながらそう云った私に、芥川さんは殺気付きで睨み返してくる。
「……何か、勘違いしてない?例え
私はそう言い、太宰さんに教え込まれた、流れるような動きでナイフを芥川さんの首元に持っていく。
すると、首元から血がつぅ……と流れてきた。
「……!!」
「マフィアに、私も全く恩を感じていない訳じゃない。だから、条件付きでのんだんじゃない。けれど、それを仇で返すというのなら……後は、云わなくても分かるでしょう?」
私はそう言い、人払いの必要が無い事を確認し、飛び降りると太宰さんの元へと急ぐ。
すると……中から、太宰さんの綺麗な声が聞こえてきた。
「君では、私を殺せない。」
私に向けられた言葉ではないのに、無い筈なのに、私の心に深く突き刺さる。
私では太宰さんを殺せないし、護れない。
そんなことを改めて確認しつつ中に入ると……太宰さんは、敦くんに異能を説明していた。
かと思うと、倒れてきた敦くんを何故か避け、「男と抱き合う趣味は無い」等と言っている。
……抱き留めてあげればいいのに。
かなり痛そうである。
「やぁ、私の可愛いいろは。顔色が優れないね。」
「……狗に会ってしまったもので、気分が優れないんです。」
太宰さんの口説き文句をスルーし、私は頬を膨らませて答える。
もしあそこで芥川さんに出会わなければ、きっと今日は完璧な1日だったのに。
その時、後方から声が飛んできた。
その声につられるように、私は振り向く。
「おい太宰!いろは!」
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業猫(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます……修正しますので少々お待ちください;; (2020年6月4日 23時) (レス) id: 3f4322bc19 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 名字を設定しても、(名字)のままなんですけど.... (2020年6月4日 23時) (レス) id: 63ee3bf45b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年5月20日 18時