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続き ページ5

「Aを愛しいと感じてしまった。
 ……貴方をただの本への道標以外に思えてしまうのです」

「、わ、わかりませんよ!
 僕は恋なんてしたこと、ないですから……。」

だから気持ちにこたえられない。
そういう意味を含めて彼の告白を断った。
__そのはずだと云うのに、なんで。

「なら、僕が初恋になるわけですか。
 それはそれは、尚更早く落としてあげたくなりますね」

目の前の彼は悠々と笑っているのだ。
ようやっと見えた、僕の知ってるあの冷たい笑顔で___。

「無理ですよ、何があっても。
 僕には、探偵社に恩を仇で返すなんてことできません」

「それでも、やってみせます。
 僕は貴方が好きですから」



あぁ、本当に頭の良い人の考えてることは理解できない。



_______
_____
___



「おはようございます………。」

「おはよう。
 珍しいね、君が遅刻しかけるなんて」

疲れ切った挨拶が探偵社にいた皆の耳に届く。
珍しくすでにいた太宰にそう言われて”彼”のことなど
云えるはずもなく、寝坊しかけたとうそをつく。

荷物を自席において、今日の仕事を始めようと
パソコンを開いたとき。

「ねぇ」

「?なんですか、乱歩さん」

珍しく翡翠色の瞳が眼鏡越しに覗く。
事件でもあったのだろうか、なんて考えてた時
呆れたような、諦めきったような声で

「諦めなよ。
 ____もう、そこまで落ちてるんだから。」

「……は、」

僕の静止も聞かず、乱歩さんはうずまきに
甘味を食べに行った。

聞いていた太宰さんにどういうこと?と聞かれたが
今の僕にそんな答えるほど気持ちの整理はついていない。

「嘘ですよね……」

「え、Aちゃん、何でそんなに顔赤いんだい?!」


目を背けていたのに、突き付けられたら
自覚するほか道はない。
溢れるように感じる好きの二言に処理をつけようと
必死な中、どこかでドストエフスキーが笑ったような気がした。





___________


情報を処理している中、そう仕事中。
ふいに心が温かくなった。

そこに手をおいてやっとですか、と声が漏れる。

「どうしたの?耳、赤いよ??」

ゴーゴリにそう言われてはじめて気が付いた。



あぁ、早く明日にならないんですかね……_____。


時の進みが遅い時計に苛立って
親指の爪を噛む。




がりり、と痛々しい音がした。

鼠か龍か(ボツ編)→←はやくここまで



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作者名:露西亜帽 | 作成日時:2018年6月4日 23時

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