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すべて終わり病院を出る頃には、夕方になっていた。
「祐、このままみんなのお迎え行こうか。
亀梨先生にも、お話しないといけないし。」
「…亀梨せんせー、もう怒ってない?」
あぁ、この感じ懐かしいな。
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『A、どうしたの?』
おそらく、また亮ちゃんにでも叱られたんだろうとは思いつつ、一応聞いてみる。
『亮ちゃんが怒った』
しゃくりあげながら泣くAに、よくもまあ叱られるネタが尽きないよなと、苦笑いしてしまう。
『そろそろ中に入ろうよ。』
手を引いて玄関に歩き出すと、Aは立ち止まって不安そうに俺に聞く。
『亮ちゃん、もう怒ってない?』
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こんなところ、親子だよなぁ。
「まだ怒ってたら、一緒に謝ってあげる。」
そして、この返しは俺が決まってしていたものだ。
「こんにちはー。」
保育園について年中さんの教室に入ると、シゲがすぐにAのところに駆け寄ってきた。
いつも、祐のあとをのんびり歩いてくるシゲにしては、珍しい。
シゲに絵本を読んでくれていた亀梨先生も、その後ろを歩いてくる。
「祐は?!だいじょーぶ?!」
あぁ、そうか。心配だったんだ。
「大丈夫。しばらくは静かに大人しくしてなきゃダメだけど。」
「もー、しんぱいかけて!」
シゲの返答に、Aが吹き出した。
ま、吹き出しちゃうよな。
「なんで笑うの!」
そんなAに、シゲが怒る。
「ごめん。シゲ、お父さんに似てきたなーって。」
そう、これはいつも周りをヒヤヒヤさせるAに、俺がよく言っていたこと。
双子で、片方は父親、片方は母親にこんなにも似るなんて。
子供が自分に似ているって、やっぱり嬉しい。
「祐也くん、どうでしたか?」
「骨折してました。しばらくは安静にするようにとのことでした。」
「ゆう、わかった?」
「もー、分かった分かった!」
…本当に、俺らに似てる。
これ、亮ちゃんが見たら爆笑するんだろうな。
「分かりました。
僕の方でも、気をつけて見ておきます。」
亀梨先生は、今度はしゃがんで祐に目線を合わせた。
「祐。」
さっきより低くなった声に怒られることを察知した祐は、Aの後ろに隠れようとした。
しかし、Aから背中に手を当てられてそれは叶わない。
「ちゃんとお約束を守らないと、こうやってケガをしちゃうんだぞ。
シゲ、ずっと心配してたんだからな。」
「…ごめんなさい。」
祐が謝ると、亀梨先生はニカッと笑って祐の頭を撫でた。
終わり←・
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あかり - また更新楽しみにしてます (2019年9月7日 21時) (レス) id: 8a688d2f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2019年1月27日 16時