朝 ページ1
はじめまして。
俺は父親の智久。
下の双子がAのお腹の中にいるとき、事故であっけなく逝ってしまったので、こうしてこっそりみんなを見守っている。
Aとは同じ施設で育った幼馴染で…
「あー!チビ二人起こさないと!!」
なんてのんきに語ってられるほど、ウチの朝は平和じゃない。
Aは卵焼きを焼いていたフライパンの火を止め、小走りでキッチンを出ていく。
「起きて起きて!!」
これで起きるのが、末の双子の兄であるシゲこと成亮。
「ほら!朝だよ!」
で、揺さぶられないと起きないのが、末の双子の弟の祐こと祐也。
二人とも保育園の年長だ。
祐はAの首に腕を回し、コアラのように引っ付いた。
甘え上手の祐と、その正反対で甘え下手のシゲのことで、Aはよく頭を悩ませている。
「はい、リビング到着。」
リビングのソファに二人を座らせたら、お母さんの強い味方、教育テレビを流す。
そんなことをしているうちに、小4の長男、慶こと慶一郎と、小2の次男、タカこと貴久も起きてくる。
Aいわく、起こさないのは自主性を育むためのものであり、断じて朝の時間短縮のためのものではないらしい。
子供のころ、起こされても全然起きなくて遅刻魔だったのは、どこの誰だよって話だけど。
みんな揃ったら、朝ご飯の時間だ。
「お母さんおかわり!」
「自分でやって。祐、ちゃんとお箸持って!」
食いしん坊でおかわりするタカにそう返しながら、祐の手にお箸を握らせる。
「ごちそうさま。」
「ごちそうさま。シゲ、着替えに行こっか。」
先に食べ終わったシゲと慶は、着替えに行った。
「ごちそうさま!」
二人が席を立ったため急いでタカも食べ終えた。
「祐くんも一緒に行く!」
「ご飯食べない子は行けないよ。」
不満そうな顔をした祐は、口を開けた。
食べさせろ感が丸出しで、その可愛さにAも頬を緩ませる。
それでも厳しくしないといけないのが、親の辛いところだ。
「自分で食べれるんだから、自分で食べて?
それとも、シゲは一人で食べれるのに祐くんは一人じゃ食べれない赤ちゃんなのかなぁ?」
「祐だって一人で食べれるもん!」
祐は、さっきまでの様子が嘘のようにパクパク食べ始めた。
こういうとき、負けず嫌いで助かる。
「ごちそうさま!」
「おりこうさん。祐くんもお着替えしようか!」
そして、俺の写真に行ってきますをしたあと、みんなで家を出ていく。
これが我が家の朝だ。
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あかり - また更新楽しみにしてます (2019年9月7日 21時) (レス) id: 8a688d2f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2019年1月27日 16時