俺 の モ ノ 。【不死川実弥】

俺の 。21 ページ22

「...」

「...」



何方とも何も言わず 、ただただ時間だけが過ぎて行く 。
なんともむず痒いこの空間 。



「あの...昨日の任務中に血鬼術 、かけられてしまいまして」



不死川さんは何も言わない 。それでも視線を逸らさずじっと私を見つめてくるものだから 、恥ずかしくなって俯いてしまう 。


...馬鹿かこいつ 、とか思われたかな 。
自分でも馬鹿だと思う 、柱の癖して雑魚鬼の血鬼術に掛かるなんて 。下弦の弐との一件から不死川さんには恥ずかしい所ばかり見せてるし 。

幻滅 、されてたらどうしよう 。



「(って何考えてるの私 、)」



これじゃあまるで不死川さんに恋してるみたいじゃないか 。

赤くなった耳を誤魔化す様に小さく首を振る 。すると 、それまで黙っていた不死川さんが口を開いた 。



「...痛い所とかねぇかァ」

「 、え」

「術かかってんだろォ 。頭とか腹とか 、どっか調子悪ィ所はねェか？」



不死川さんの無骨な手が頭を 、猫耳を撫でる 。

いつも私の身体に触れる時とは違う 、繊細で優しい手つき 。声色も落ち着いていて瞳には心配の色を浮かべており 、胸の奥がきゅうと縮こまる 。



「ない 、です」

「そうかィ」



頰に手を添えそっと唇を重ね 、無理すんなよォと言って立ち上がる 、

...はずだった 。



「...？！」



立ち上がろうとした不死川さんの羽織の裾を 、私の手は無意識に掴んでいた 。

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