俺 の モ ノ 。【不死川実弥】

俺の 。13 ページ14

冨岡さんとは合同任務の時 、私から声を掛けて以来話す様になった 。
私達はよく似ている 。口数があまり多くないところ 、無愛想なところ...不本意だが抜けてる 、と言われがちなところ 。


＿＿たった一人の肉親が 、自分を庇う為に鬼に殺されてしまったところ 。


冨岡さんはお姉さんを 、私は兄を 。
時が経ち柱になっても尚 、癒えない傷を抱えている 。



「...朧夜」

「はい」

「お前程実力のある者が 、どうして怪我を負わされた」

「それ...は」



深い青色に心の奥底を覗かれた気がして目を伏せる 。



...しのぶにも 、勿論不死川さんにも言えなかった事がある 。
下弦の弐にやられる直前頭に"記憶"が流れ込んできた 。前の日に見た夢と同じ 、兄が死んだ日の記憶 。


流れ込んできた記憶と共に金縛りに遭い 、身体が動かなくなった 。あのまま攻撃を喰らってたら多分 、死んでいたと思う 。



「...っ」



冨岡さんに話したのは兄が鬼に殺された 、という事だけ 。詳細は言ってない...ううん 、言えなかった 。
思い出す度どうしようもなく涙が込み上げてくるから 。



「...話したくないなら 、それでいい」

「っ...すみま 、せん...」



ぽんぽんと撫でてくれた手が温かくて優しくて 、涙が一粒零れ落ちた 。



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