君も… ページ5
今日は警視庁術科センターで風見と拳銃の練習をしていた。
ダンッダンッ
俺は的を狙って2発撃つと中心に当たった。
横を見ると風見も撃っている。
降「もっと右手の力をぬいたほうがいい…」
風「降谷さん!」
降「構えろ…。利き手が3、もう片方が7の割合だ!姿勢はボクサーをイメージして、腰を落とし、やや前傾…」
その後、風見は一度打つが中心からはわずかにそれている。
降「僅かに左にそれているな…。風見、銃のメンテナンスは定期的にやっているか」
風「はい」
降「1週間サボれば、確実に照準はくるう。もう一度」
風見は俺の助言通り構え発砲する。見なくてもわかる。今回は当たる。俺はその場を去った。
そして、トレーニングをするためにいつもの河原に行く。トレーニングしていると雨が降り始めた。橋の下でシャドーボクシングをやっていた。
降「なぜ、見殺しにした……お前ほどの男が…」
すると脳裏に、あいつがヒロを見殺しにした時のことが浮かんだ。
降「どうして!!」
橋に憎き男の顔を思い浮かべ渾身の力を込めて殴る。彼の怒りの中にどこか悲しさがあった。シトシト降る雨は、嫌な記憶までは流してくれず彼は一人、苦しんでいる。
降「A」
そんな彼をいかなる時も優しく包み込んでくれる彼女は、黒い世界を照らす唯一の光だった。しかし、今は彼女がそばにいない。帰ってくるのは明後日。
早く彼女を抱きしめたい。
俺が泣こうが彼女は何も聞かず黙って抱きしめ返してくれる。彼女の優しさが俺の唯一の幸せだった。
俺の協力者として一緒に組織に関わっていることですら本当は後悔している。本当をいうと
早く結婚して、彼女には家に入ってほしい。
今の時代的にアウトだが、今の俺にはお前しかいない。
降「お前までいなくなったら俺は____」
橋の壁に頭を当て誰もいない場所で弱気のことをいう。すると、横から何者かの気配を感じ殺気を飛ばす。そこには小さな犬がいた。優しく撫でてやると気持ちよさそうする。
降「君も…独りぼっちか……」
俺は撫でるのをやめ、フードを被る。
そして、犬に背を向ける。
降「付いて来るなよ、濡れるから…」
雨の中、一人、俺は走り始める。
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作者名:じんべいざめ | 作成日時:2019年5月8日 7時