愛しさが溢れて仕方なくて (ジークフリート) ページ2
｢俺なんかが好きになってしまってすまない｣
私を膝に乗せて私の頭に顎を乗せて話すジーク。
すまないといいつつその声はどこか嬉しそうだ。
｢私なんかを好きにさせてしまってすまない｣
ちょっぴりふざけてジークの真似をして言ってみる。
｢貴女は本当に優しいんだな｣
声からどんな顔をして言っているのか予想がつく。
｢ジークのが優しいよ｣
ジーク以上に優しい人なんて私はきっと知らない。
｢そんなことはない。 ｣
すかさずジークは否定する。
｢そんなことはある。｣
そんなジークを否定する。
｢ない！｣
｢ある！｣
きっとお互いこれだけは譲らない。
どれだけ言ってもどちらかが折れない限りは続くだろうなぁ。どちらも折れないけど。
｢じゃあ、お互い優しいということで！｣
｢ぐぅ。まあ、そういうことにしておこう。｣
その事をジークも分かっているようで。
少し言い方に引っかかるもこの件は一件落着のようだ。
それにしても
｢ジークってたまに頑固だよね。｣
思ったことをそのまま口に出してみる。
｢すまない。｣
さっきのすまないと違い本当に申し訳なさそうな声。
｢ううん。逆にジークの譲れないって事だから嬉しい。｣
いつも頼まれてばかりで、自分の意見をあまり言わない気がするジークの譲れない事。それは何だか彼の本心のようで。なんだか彼の本心に触れられたようで、本当の彼を知れたようで嬉しい。
｢そうか。なんか、その、すまない。｣
ジークはことある事に謝る。
それがなんだか申し訳なくて。
謝って欲しくなくて。
だからこんなことを言ってみる。
｢うん。すまない禁止！一すまないにつき一ハグの刑！｣
私が嬉しいだけだけれど。
｢すまない。｣
頬をすり寄せながらぽつり。
｢ふふふー！早速だね！｣
後ろからまわされた腕をそのままに体をぐりんと反転させて先程まで持たれていたその胴体に首に腕をまわし抱きつく。
｢…すまない。今のは俺がハグをしたかったから言った。本当にすまない。｣
なんだこの可愛い生き物。
｢へへへー。なら倍返しだ！｣
そんな可愛いことを言われてしまってはハグするしかないじゃない！
さっきよりもやや強めにぎゅっぎゅーとする。
｢これだと俺だけが幸せだ｣
良かった。ジークも幸せだったんだ。
｢私も幸せだよー！｣
ふふふーと思わず笑みがこぼれおちる。
｢そうか。｣
｢そうです。｣
今度はお互いの顔を見てどちらともなくふふふと笑みがこぼれ落ちた。
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作者名：キーモン | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nawa34562/
作成日時：2017年6月18日 21時
