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一つ、話してはならない ページ39

「珍しいですねぇ、旅行だなんて」


『いえ、そんなこと…』


女将が夕飯の準備をしているとき、ふとそんなことを云った。


乱歩はひたすら、目の前に並べられた料理に釘付けになっている。


料理と一口に云っても、個性的な郷土料理などではなくて、極々普通の料理だ。


白飯に味噌汁、魚の塩焼きにたくあんという、
まあ今時、珍しいといえばその通りな献立で
ある。


乱「わあっ!いただきまぁす!」


乱歩は大層嬉しそうな声を出して、手を合わせた。



「お二人はどちらから?」


『ああ、私たちは________』


雷のような衝撃が、Aの頭を貫いた。


乱歩は魚を口に持っていこうとする手を不本意に止めた。


“一つ、自分が元いた場所のことを、



深く話してはならない”



乱「神奈川だよ」


繕った微笑で乱歩が返す。


すると女将はたった一瞬、無念と驚きの入り混じったような顔をして、


「まあ、そうですか…それはずいぶんなところから…」


とだけ云った。


しばらくたって、女将は静かに部屋を出て行った。



Aの背筋には、名状し難い悪寒が駆け巡っていた。


『乱歩君…なんかおかしい…』

乱「うん…僕ら子供二人なのに、そのことについては、あの人全く触れてこなかった。
どこからきたのかなんて…」



『何日か滞在して、様子を見てみよう』


二人はうなずいて、そのまま布団に潜り込んだ。


不思議なことに、その晩は鳥の囀る音さえ、
聞こえてこなかった。

あなた誰?→←気味悪い接待


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丸ノ内マルフォイ - 闇川幽鬼さん» おお!とても丁寧なご説明、ありがとうございます!もう絶対教えてくれる人とかいないだろとか思ってたんで、とてつもなく嬉しいです!これからも更新頑張っていきますので、何卒宜しくお願いします! (2019年9月5日 22時) (レス) id: f3401d0768 (このIDを非表示/違反報告)
闇川幽鬼 - 次に貼り方は貼りたい場所を長押しすると上に「ペースト」という文字が出ます。それを押してコピー完了・・・だと思います。・・・説明下手ですいません。分からない所があれば言って下さい。上手く説明出来るか分かりませんが頑張ります。 (2019年9月4日 23時) (レス) id: 56867ea8da (このIDを非表示/違反報告)
闇川幽鬼 - いつも楽しく見させて貰ってます。URLの貼り方は貼りたい文字を長押しすると青い枠?が出てきます。枠の青い丸を長押しスライドさせて貼りつけたいURLを選択します。上に「コピー」という文字が出ます。それを押してコピー完了! (2019年9月4日 23時) (レス) id: 56867ea8da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:丸ノ内マルフォイ | 作者ホームページ:http://subetenohazimari  
作成日時:2019年8月14日 23時

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