謎解き遊戯のサイハテ

とうとう出発 ページ37

時間が過ぎるのは随分と早いものである。


気づけば、もうその“明後日”になっていた。



船着場にてフェリーを待ち、とうとうお待ちかねのフェリーがやってきた。


広介も同行したかったようだが、大学の方が
忙しいらしい。


フェリーの中は、見事に人が少なかった。


数えて十人程度。


がしかし、このフェリーは各駅停車のような
もので、鶴亀島の他にも三つ程島を経由するので、なんとも云えない。



Aは乗り物には強いつもりだったが、
どうにもフェリーだけには負けるようで、
何度も甲板の方へ出かけた。


時折海を眺めてはいるものの、その気持ち悪さはおさまるどころか、ますます酷くなる一方であった。


では乱歩はどうかというと、彼には全くそういったものがないと見えて、何度も顔を青くして海を眺めにいくAの姿を、まるで見せ物を見るときの子供のように見ていた。


いくつか港に停船して、次が鶴亀島だというころには、もう二人しかいなかった。


Aは、どんなところだろうかと夢想しながら、フェリーがつくのを待った。


それと同時に、乱歩と二人きりでしばらく暮らすのか、と考えると、頭がキリキリ痛くなった。



普段は福沢がいるから何とかなっている話も、ブレーキがないので、どうなるものか知った
ことではない。


僅かな期待と同じくらいの不安を胸に、二人はフェリーを下船したのだった。

気味悪い接待→←フェリーの問題

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