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講義が終わって、それぞれバイトがあるってユリちゃんと別れてロッカールームを出て。



中庭の掲示板を足早に通り過ぎる。



見たくないものが、そこにはあるから。

でも、そこを通らないと
学校を出られないから。


なるべく早く......




「野々宮さん。」



背中から誰かに呼ばれて
びっくりして足を止める。



振り返るかどうか
悩むぐらい
誰の声なのか、はっきりわかってしまって。


その場に、立ち尽くした。


その間にも、コツコツとヒールの音が響いて。
その音が近づいてくるたびに
私の心臓がドキンドキンと動き出した。





「.....悪かったわ。」


何に対して“悪い”のかわからないけど
その声の主は泉谷さんに間違いなくて。

やっぱり私は、その場から動けない。



「もう最後だから、謝っとこうと思って。」



立ち尽くす私の前に
泉谷さんはヒールの音を響かせながら回り込んで。


あの日、2人がランウェイを歩いた
煌びやかに写された写真の前で
泉谷さんと向かい合う形になった。



「今日は、翔くんと一緒じゃないの?」

わざとらしく言った泉谷さんに
ものすごく腹が立って



「いつもは、あなたと一緒でしょ?」


なんて、突っかかるような返事をしたら
急に泉谷さんから笑顔が消えて。


「....なによ。彼女だからって余裕ぶってるの?」


長い髪を耳にかけて
ものすごい怖い顔で私をにらんだ。



「.....余裕ぶってなんかないよ。
本当のこと言っただけ。」


にらみ返すような勇気は
私にはなくて。

とっさに目を逸らした。



「.....あなたなんかの、どこがいいのかしら?
私と付き合った方が、絶対楽しいのに。」

容赦なく降り注ぐ泉谷さんの攻撃に
反撃するすべはなくて。



泣かないように
取り乱さないように、必死。



ホントだね。
私も自分で、そう思う。


翔は、どうして
泉谷さんよりも私なんかを選んだんだろう?




「なんで黙ってるの?」


泉谷さんに問いかけられても
“私なんかの、どこがいいのか”
答えなんか出なくて。



結局、黙ってうつむいたままの私に。




「.....ま、別にいいけどね。
私の良さを分からない男にはもう未練ないから。」



そう言って、腕組みしながらヒールをコツンと鳴らして。



「.....こんな事なら、ホントにキスしとけばよかったわ。」




掲示板に飾られた
2人の写真を眺めながら、泉谷さんが呟いた。





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(プロフ) - 翔潤Loveさん» いつもありがとうございます!空回り翔くん....愛おしいですよね(*´-`)6章まで来てしまいました.....永遠に読める小説目指して頑張りまーすヽ(´▽`)/ (2020年12月1日 17時) (レス) id: ebcf222aae (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 花菜さん» 話のスジが読者様に丸わかりの連載wwwそれだけDSHの翔くんが単純でわかりやすいって事ですかねw最近ストーリー展開がゆっくりすぎて、クドイかなと思いながら書いてたのですが“丁寧に”という評価をいただけて嬉しいです(*´-`) (2020年12月1日 17時) (レス) id: ebcf222aae (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - mikkyさん» 待っていただいてありがとうございます!おかげで楽しく書き続けられてます(*´-`)大人な2人とピュアな2人....これからも見守ってくれたら嬉しいです!ピュアな2人....果たして逃げくれるのか!それとも追い越されるのか....乞うご期待ですw (2020年12月1日 17時) (レス) id: ebcf222aae (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まみ公さん» ヤキモチ焼いて暴走する翔くん...きっとこれからも登場する気がしています(*^^*)そんな事してる間に、きっとユリちゃんと相葉くんは追い越していくw6章も待ってて頂けたら嬉しいです! (2020年12月1日 17時) (レス) id: ebcf222aae (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - さくさん» いとも簡単に追い越される翔くんを全速力で準備中ですw簡単に1つになっちゃったら、DSH終わっちゃう気がするので(笑)とか言ってると妄想の中の翔くんに怒られそうですね(´ー`) (2020年12月1日 17時) (レス) id: ebcf222aae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年10月18日 10時

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