またきっと明日がくる.34 ページ34
「…………ん。」
意識の上昇。
ゆっくりと目を開けたはずなのに、目の前は黒一色……
そして、聞こえたのは小さな呼吸音と鼓動。
それが俺のものだと知ったのと、目の前が真っ黒なのはこの空間に明かりがないということに気がついたのは同時だった。
あれ?なんで、俺………こんな所に?
立ち上がろうとして手を動かそうとした。
でも、腕も足も何かで縛られて動けない。
倚子に縛り付けられて………
「…………暗い。」
じわじわと、喉からせり上がってくる恐怖と不安。
喉の渇き、耳鳴り、嫌な鼓動のリズム。
「ちゅー、や、さん………!」
助けて…………
何時までも言えない言葉が頭の中で響いて唇が震えた。
たった一言………
その一言が、何時までも言えない。
助けて…………
言えない。
言ってしまったら、期待してしまう。
期待を裏切られるのが、怖い。
だから、ずっと、誰にも、言えなかった……
どれだけ、父さんに殴られても、傷をつけられても。
その一言だけは、言えなかった………
だって、誰も………
そうだ、誰も………
「おれなんか、救ってくれやしない………」
言ったって、無駄だ。
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アミ - 更新頑張って下さい! (2020年3月27日 16時) (レス) id: 808cf034c3 (このIDを非表示/違反報告)
マッキー(プロフ) - 更新頑張ってください! (2018年12月23日 23時) (レス) id: 0346650c4f (このIDを非表示/違反報告)
月夜 黒輝(プロフ) - すごく難しい気が...。でも凄くい話ですね!続きが気になります!更新出来れば再開してください。お願いします。 (2018年12月15日 7時) (レス) id: 9616d08dd2 (このIDを非表示/違反報告)
魔夜美(プロフ) - 更新がんばってください (2017年5月3日 16時) (レス) id: a15b068210 (このIDを非表示/違反報告)
白蜜 - とても面白いです!! 続きが凄く気になります! (2017年2月13日 7時) (レス) id: 6cc179f9dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いないな | 作成日時:2016年6月23日 18時