拾伍 ページ16
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「……A、この刀は母さんの形見だからね。絶対に、誰にも渡してはいけないよ。」
『……はい、お父様。』
「よし、良い子だ。」
目まぐるしく回る記憶の中にポンと、父との約束が浮かび上がった。
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『……刀、ですか。はて、私は何も知りません。』
「とぼけなくても良い、あの刀がこの屋敷にあることはわかっている。全てわかっている。」
『刀など、この屋敷では一度も見たこともありませんよ。』
息をするように嘘を付くとはこのことだ。私はしっかりと、この目でこの屋敷にある刀を見たことがある。
だが、約束したからにはきっと、守らねばならないのだろう。
それが例え、会ったこともない母の形見だとしても。
「……生前、音次郎は言ったはずだ。お前に、母親の形見を守れと。」
『何も聞いておりません。それに、私は母の顔を見たこともありませんので。』
「それがなんだ。」
『ですから、形見とてあればお渡し致します。何の思い出もない母の形見、それも刀など物騒ではありませんか。引き取っていただけるならば、お渡し致しますとも。』
刀というものは今の時代物騒だ。それに、形見なんて正直どうでもいい。形見があっても、そこに本人がいるわせではないのだから。
だが、この
それに、この男はきっと私を喰うこともしないだろう。
「薄情なフリはよせ。そろそろ正直に話さなければ、お前の命は無い。」
『まぁ、殺して下さるのですか。それは有難い。生きていてもこの頃、何も楽しいことが無いのです。』
「……母親に似て小賢しい娘だ、実に腹立たしい。」
ギロリと、鬼の赤い瞳が私を睨みつける。この鬼は、母のことも知っているのだろうか。
なぜ、父と母を知っているのか。そしてなぜ、そこまで刀に執着する。
この鬼は一体、何者なのだろう。
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あるでんと(プロフ) - ぱんさん» コメントありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです。風邪は年末から年始にかけてすでにひいたので大丈夫だと思います笑 (2020年1月15日 23時) (
レス) id: 484fc6b4f6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱん - とても面白いです！続きを楽しみにしてますが、すんごい寒いので体調に気をつけてくださいね！ (2020年1月14日 17時) (レス) id: 03bfdf54f9 (このIDを非表示/違反報告)
あるでんと(プロフ) - あさん» 童磨のキャラブレがとても心配だったので、そう言っていただけて嬉しい限りです。完結までは私のペースになってしまうと思うのですが頑張ろうと思っているので、これからもぜひ、よろしくお願いします。 (2019年10月27日 7時) (レス) id: ee9413cc7b (このIDを非表示/違反報告)
あるでんと(プロフ) - 狂狐さん» 返信遅れて申し訳ありません。勿体ないお言葉、本当にありがとうございます。とても嬉しいです。少しずつ更新していこうと思っているので、これからもよろしくお願いします。 (2019年10月27日 7時) (レス) id: ee9413cc7b (このIDを非表示/違反報告)
あ - 童磨さん最高です。すごく面白かったです、これからも応援させていただきます。 (2019年10月24日 17時) (レス) id: 87b58a18e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あるでんと | 作成日時：2019年7月20日 15時
