拾肆 ページ15
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それは、とある晴れた夜のことだった。
『……どちら、様でしょうか。』
いつもと何ら変わらず、彼が来るのをなんとなく待っていた時、門口の方から声が聞こえた。もちろん、彼の声でもない。
夜分になって家を尋ねられるのは面倒だが、部屋には明かりを灯していたため、私は渋々門口へと向かった。
「……夜分に、申し訳ありません。」
低めの落ち着いた声を発したその男は、今時珍しい西洋の衣を身にまとった、背丈のある紳士。
黒く少し癖のある髪と、整った顔立ち。肌は女のように白く、痩せ型であった。
私は珍しい客人に少し驚きながらも、言葉を紡ぐ。
『……こんな山奥に夜遅く、どういたしましたか。』
「この屋敷の“主”に、少々用がありましてね。」
『……主、ですか。』
男は涼し気な顔で、珍妙なことを言い始める。なんだか妙に気持ちが悪く感じたが、言葉の“意味”も気になるところだ。
『……わかりました。どうぞ、お上がりくださいませ。』
私は真偽を確かめるべく、男を屋敷に上げることにした。
後を着いてくる男は、やはりなにか薄気味悪い。あの言葉のこともそうだが、美しさの裏にある人間味の無さがやけに気がかりだった。
『……お座りください。』
私が言うと、男は綺麗な所作で座り込む。見た目からしてやはり、いい所の生まれなのだろう。
『それで、“主”のことなのですが。』
「……どうやら、屋敷には貴方一人のようですね。」
『えぇ。……主は、数年前に他界しましたので。』
「ほう、そうでしたか。」
男は少しだけ、表情を歪める。それは紛れもなく、人間が向ける哀れみの目。
ただそれは酷く、鼻につくものだった。
「それでは……貴方は、娘さんで。」
『……はい。』
「どうりで、面影がある訳だ。音次郎さんとは、古い付き合いでしてね。」
軽い笑みを見せた男の瞳が、薄く赤みを帯びてキラリと光った。
あぁ、知っている。
月明かりに照らされ、妖しくも不気味に光る美しい瞳を、私は他にも知っている。
「今日は、ある物を返して頂きたく訪ねたのですが。」
やはり、この男
「あの刀は、どこにあるのだろうか。」
……鬼だ。
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享年…40歳
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あるでんと(プロフ) - ぱんさん» コメントありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです。風邪は年末から年始にかけてすでにひいたので大丈夫だと思います笑 (2020年1月15日 23時) (
レス) id: 484fc6b4f6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱん - とても面白いです！続きを楽しみにしてますが、すんごい寒いので体調に気をつけてくださいね！ (2020年1月14日 17時) (レス) id: 03bfdf54f9 (このIDを非表示/違反報告)
あるでんと(プロフ) - あさん» 童磨のキャラブレがとても心配だったので、そう言っていただけて嬉しい限りです。完結までは私のペースになってしまうと思うのですが頑張ろうと思っているので、これからもぜひ、よろしくお願いします。 (2019年10月27日 7時) (レス) id: ee9413cc7b (このIDを非表示/違反報告)
あるでんと(プロフ) - 狂狐さん» 返信遅れて申し訳ありません。勿体ないお言葉、本当にありがとうございます。とても嬉しいです。少しずつ更新していこうと思っているので、これからもよろしくお願いします。 (2019年10月27日 7時) (レス) id: ee9413cc7b (このIDを非表示/違反報告)
あ - 童磨さん最高です。すごく面白かったです、これからも応援させていただきます。 (2019年10月24日 17時) (レス) id: 87b58a18e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あるでんと | 作成日時：2019年7月20日 15時
