「髪型」 ページ28
「なあ、暁さん。今日の部活なんだが…」
ふわふわのウェーブ。
「暁ー。そこのタオルとってくれ」
ピンクのツインテール…つんつんの。
「髪型ぁ?そんなん気にしてんのお前」
水色のめかくれ…。
「まあ確かに。うちのやつらは目立つ頭してるよなあ…って、なんだよそんなに見つめて」
「もしかして触りたい?」
「そんなわけ…ってほんとに触りたいのかよ!まあいいけどさ」
「Aちゃん、目がきらきらしてる。私のも触る?」
「っていうことが今日あったの」
「うーん…おれもあんまり気にしたことなかったや」
この世界にきてしばらくしてから、私にはずっと疑問があった。それは、『皆の髪型どうなってるの問題』だ。アニメを見ていた時から思っていたけど、実際に目の前で見てみるととてもインパクトがある。
とうとう我慢できなくなり、今日は部活中隣にいた水鳥ちゃんの髪を凝視してしまった。首当たりの髪を触らせてもらったけど、あの緑色の部分はリボンだったのだ。茜ちゃんのボリュームたっぷりの横髪も、三つ編みのために集めた髪がもこもこしている感じだった(触らせてもらうかわりにたくさん写真を撮られた)。
天馬くんは私の横に座って、お風呂上りでまだ乾ききっていない頭をタオルで拭きながら私の話を聞いている。その濡れた髪に自然と目がいき…釘付けになった。
「濡れてるのにはねてる…」
目の前にいた。一番インパクト大の髪型。
「へ?ああ、おれクセッ毛なんだあ」
天馬くんは照れくさそうに言いながら、自身の髪のカールした部分を触った。もうクセッ毛のレベルを超えてる。
気になる。どんな触り心地なんだろう。見つめているうちにチョココロネに見えてきた。だめだもうチョココロネにしか見えない…
「そんなに気になる?」
「う!」
突然天馬くんが顔を近づけてきた。チョココロネ(ではない)に目を奪われて、距離を詰めてきたのに気付くのが遅くなった。嫌な気持ちにさせたかなと不安になったけど、純粋に私が自分の髪を見つめているのが不思議なだけのようだ。あまりの顔の近さに息が止まりそうになる。シャンプーの香りがふわりと鼻をかすめた。
天馬くんは優しく私の腕を掴み、自身の頭上に乗せた。
「わ…」
「どーお?」
何が「どーお?」なんだろう。でもすごくふわふわ…というかもふもふしている。癖になりそう。そのまま頭を撫でると、天馬くんは嬉しそうに目を細めた。
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作者名:飯 | 作成日時:2021年9月2日 22時