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「オマエ、そんな良い術式持ってるくせにクソ弱ぇのな」
頭の上から冷水を浴びたような感覚に至った。
宝の持ち腐れってやつ？と地面に膝をついて酸素を必死に取り込もうとしている私を見て冷ややかに笑っていた。
────── ── ─
「また五条に扱かれたんだ」
「…まぁ。」
「アイツがAを無理やり外に引きづり出したんだろ？」
あの先輩に思い切り投げられた時に受身を取ろうとしたが体制が整わずそのまま地面に擦って頬に出来た擦り傷を家入先輩に消毒してもらいながら言った。
アイツ、というのは勿論唯我独尊 五条悟先輩のことで五条先輩が私を引きづり出たのは事実でもあり、家入先輩の質問に私は肯定も否定もしなかった。
「でも、強い人と手合わせ出来るのは有難いので」
「Aさぁ…。いーんだよ、そんな五条を甘やかさなくても。だいたい1年生で準1級だろ？期待の星じゃん」
「今の私に準1級の階級は不釣り合いだと思いますが」
「一応聞くけど誰から言われたの？それ」
「いえ、誰からにも。」
私からそれを聞いた家入先輩は大きくため息をついて、いい？と小さな子供を諭すように視線を斜め下に下げていた私の顔を両手で添えて目を合わさせた。
「あんた、自分を卑下にするのはやめなよ。五条くらい自信に溢れては欲しくないけどさ。」
とりあえず私からアイツに言っておくから部屋に戻ってとっとと寝な、とポンポンと家入先輩に頭を撫でられた。
「先輩、ありがとうございました」
わざわざ怪我の処置をしてくれた優しい先輩に今度何かお礼しなきゃな、と考えながら寮に向かっていった。
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作者名：周 | 作成日時：2021年1月24日 13時
