Episode 8-2 ページ38
事の始まりは、10年前まで遡る。
当時5歳の私と4歳の妹。
そう、始まりはたかが1歳の差……然れど1歳の差だった。
幼いながらに発揮された才能に両親が私の未来に期待を注いだ。
そして同時にあの子への関心が無くなっていった。
両親は妹の存在を無かったかのように振舞った。
私がアルコバレーノになったのは凡そ一年前の出来事だった。
故に、物事に対しての達観視や客観視が既に備わっていたのだ。
「貴女は天才よ!!お母さんは誇らしいわ……。
(名前)のような才女が娘であることが!!」
「父さんは嬉しいよ、お前が才能に恵まれた存在で……その優秀さに未来が輝いて見えるよ!!」
不思議でならなかった…。
ただ、人よりほんの少しだけ私が優れていた事を惚れ惚れとして語る両親を。
何を持って彼等は私を優秀だと呼ぶかは当時は理解出来なかった。
しかし時が経ち……彼らの…私の家柄を知ると納得がいった。
財閥系の跡継ぎとして期待を込めたのだ。
傾きつつある家を再起させることを彼等は私に託したのだ。
そんな頃、妹の悪質が始まり出した。
まだ幼稚な悪戯だったと思う。
然れど確かに私はその行為に悩まされた。
単純に物を隠すや壊すなど……大きな事は起きていない、小さな幼いながらの嫌がらせだ。
然し、困る事に違いは無かった。
平気で平然とした顔で家で過ごすあの子を恐ろしいとさえ思った。
「おねぇちゃんばっかり……!!
何で?ねぇ、何でおねぇちゃんばっかりなの!!?
何でアタシを見てくれないのｯ!?」
私ばかりズルいのだと怨念を吐いたあの子を
前にして私は何も言えなかった。
謝ることも、否定することもせず。
ただ幼い妹の怨みを黙って聞いた。
こんなにもいたいけな妹が怒りに満ちた顔をして、
その小さな身体を震わせて呪いを叫ぶから
私は何も言えなかった…言わなかった。
それがラナとの相対する始まりだったと言えるだろう。
＿＿＿＿彼女の呪詛を私はただ静かにこの身に受けいれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 334人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
渦鬱 - コロナ渦で見つけた作品ｗ何気なく見てたら普通にハマって読んでて自分でもびっくりww番外編とか話逸れるような脱線が無いから読みやすい!!たまに分かりずらい心情あるけどこっちで勝手に考察しろってこと?ｗでも予想するのも考察も好きだから妄想膨らんでる← (2020年9月18日 9時) (
レス) id: 3ef1b144c8 (このIDを非表示/違反報告)
193 - 自分ももっと伸びていいと思います!!↓同じこと思ってる人いてマジ同士ｗ作者さんの作品全部見てる勢だけど、今までで1位2位くらいで好き!他の作品もみんな見てくれー!!ｗ (2020年9月18日 9時) (レス) id: 3ef1b144c8 (このIDを非表示/違反報告)
もっとやれ - シリアル好きには溜まらん!!ｗてかもっと伸びてもいいと思うこの作品!! (2020年9月18日 9時) (レス) id: 3ef1b144c8 (このIDを非表示/違反報告)
妖凛 - 読み返してると最初のトップページ?の紹介ページ?みたいなところで夢主ちゃんの現段階の心情と、ちょっと後の心情が描かれてるの好き!毎回トップページの感情伏線ここで回収するんだなってなる!! (2020年9月18日 8時) (レス) id: 3ef1b144c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：唄詠 | 作成日時：2019年12月12日 10時
