検索窓
今日:3 hit、昨日:11 hit、合計:27,743 hit

第五十一話 ページ6





図書室の扉は少しだけ重かった。二回とも、私以外の織田くんかみやびちゃんに開けて貰っていたから、自分で開くのは初めてだった。
先程の場所に変わらずいる二人を見つけ、私は大きく深呼吸をしてから声をかけた。

『二人共!』
私の気合いの入った大声に二人は同時に振り返り、瞳で私を捉えた。
織田くんは表情一つ変えないが、明智くんは私の姿に大層驚いている。

「Aさん…?もう帰ったんじゃ……」
『私も今日はここに泊まるって決めたの!』
「えっ!?」
珍しい、というより初めて聞いた彼の大声(先程の私には劣っていたが)に新鮮さを感じていると、もう一つの鋭い視線が私の身体を突き刺した。

「A、帰れと言っただろう」
『ぐ……でも、みやびちゃん心配してたし』
「みやびのことより自分を優先しろ」
うわあ…その言葉、今じゃない時に聞きたかった。そんなこと言われたらころりと落ちちゃいそうだもん。
それに……う、絶対零度の織田くんの視線が痛い…
だけど今は頑固Aだし。そんなんで帰る訳にはいかない。
強く口を引き結び、帰らない!という意志を表現していると、明智くんがおずおずと口を開く。

「そ、そうですよAさん……両親が心配しますし…」
『……それについては大丈夫。私、帰っても家に一人だから』
「あっ、ご、ごめんなさい…」
『だ、大丈夫だから謝らないで!?もう慣れてるんだ』
申し訳なさそうに身体を縮こめる明智くんに私は慌てそう言い返す。
こういうシチュエーションはもう何万回と繰り返してきたからもう慣れてしまったのだ。

『まあ、だから家にいるよりちょっと危険かもしれないけどこっちにいた方が楽しいんだよね』
そう言って笑って見せれば、二人は渋々承知してくれた。案外簡単にOKしてくれてホッと息をついた。


………というか、彼らの何を見張れば良いんだ?

第五十二話→←第五十話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (53 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
286人がお気に入り
設定タグ:逆ハー , 新・信長公記
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

moka(プロフ) - a-yaさん» 何と嬉しいお言葉...!!私なんかの作品を何回も読み直して頂けてるなんて凄く嬉しいです🥹✨️相変わらずのゆっくり更新ではありますが少しずつ話を進めていきますので暇つぶしにでも読んで頂けたら嬉しいです🥰 (11月20日 21時) (レス) id: 29521248bc (このIDを非表示/違反報告)
a-ya(プロフ) - この作品めちゃくちゃ面白いです!何回読み直しても楽しめます❤️これからも応援しています! (10月15日 16時) (レス) id: 672b289667 (このIDを非表示/違反報告)
moka(プロフ) - さらさん» わー😭💓いつもドキドキしながら更新してるので面白いと言って下さって物凄く嬉しいです…!これからもさら様をキュンキュンさせられるよう頑張りますね🥰それに2回もコメントありがとうございます!気持ちだけでもとても嬉しいです✨ (2022年10月3日 18時) (レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ホントにいつもたくさんの更新ありがとうございます!!番外編も凄く面白かったです!!榊原くんも格好よかった!!上杉くんにもキュンキュン来てます!!私も星いっぱい押したいくらいです!!でも1つしか送れない!!気持ちはたくさんです!! (2022年10月3日 9時) (レス) @page23 id: f9b4a84be1 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - mokaさん» 届いていたみたいで安心しました🥺 私なんかの小説で清正くん好きが増えているなんて……! 感激です😭 本当に本当に、ありがとうございます! 清正くん出てきたらいいね200回くらい押しますね🥰 (2022年10月2日 22時) (レス) @page23 id: bd8f0e2e75 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:moka | 作成日時:2022年9月28日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。