第七十二話 ページ31
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「これからどうする?」
放課後、神社で皆と今後の話し合いをするらしく、私もみやびちゃんに誘われて参加することになった。
皆が伊達くんの問いに黙っていると、みやびちゃんが口を開く。
「今まで通り、PBB作戦を…」
「やるわけねぇだろ!裏切り者混じってんだぞ」
「そういう君が裏切り者だったりしてな…」
「あ…?何言ってんだよ…俺が井伊やるわけねぇだろ!」
伊達くんの言葉に、私はつい彼の方を向いてしまった。
確かに、この状況下では他人を疑うことは間違いではない。だけど、誰かに対してそう裏切り者ではないかと軽く言ってしまうのは嫌だった。
「日下部…こいつを占え」
「えっ、占い?」
「裏切り者かどうかな」
「伊達…!」
我慢できないと言ったように本多くんが伊達くんの元へ行こうと階段を登った時、黒田くんが間に入る。
「争ってる場合か?」
「おい黒田、そういうお前も怪しいんだよ!」
「お前が裏切り者だって可能性も大いにあるけどな」
「てめぇみたいなくせ者がな、1番怪しいんだよ!ていうかな、お前ら全員怪しいんだよ!!」
酒井くんの言葉に今まで黙っていた皆も次々と食ってかかる。相手の身体を押したりと言い争いが野蛮なものへと発展していく。
『ちょ、ちょっと!皆決めつけは良くないから!』
「おやめ下さい!!」
慌てて二人で止めに入るも、止む気配はない。そんな様子に伊達くんは柱に寄りかかっていた身体を起こした。
「…くだらん」
『あっ、ま、伊達くん…!』
「悪いがA、私は帰る」
そう言ってスタスタと階段を下りると、伊達くんは去って行ってしまった。
それに続くように「中止だ」と言いながら皆が帰ってしまい、結局取り残されたのは私以外みやびちゃんと黒田くん、それから未だ一言も発してない信長くんだけになってしまった。
みやびちゃんは皆を呼び止めようと必死に声を張ったが、無情にも誰かが足を止めることはなかった。
「信長…一度割れた器は、絶対に元には戻らん」
彼女の隣で去って行く皆の後ろ姿を見つめていると、背後で黒田くんが信長くんに話しかけている。
「絶対は絶対にない」
「…今回ばかりは、"是非に及ばず"では済まんぞ」
それだけ言うと、黒田くんも立ち上がって帰って行ってしまった。
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moka(プロフ) - a-yaさん» 何と嬉しいお言葉...!!私なんかの作品を何回も読み直して頂けてるなんて凄く嬉しいです🥹✨️相変わらずのゆっくり更新ではありますが少しずつ話を進めていきますので暇つぶしにでも読んで頂けたら嬉しいです🥰 (11月20日 21時) (レス) id: 29521248bc (このIDを非表示/違反報告)
a-ya(プロフ) - この作品めちゃくちゃ面白いです!何回読み直しても楽しめます❤️これからも応援しています! (10月15日 16時) (レス) id: 672b289667 (このIDを非表示/違反報告)
moka(プロフ) - さらさん» わー😭💓いつもドキドキしながら更新してるので面白いと言って下さって物凄く嬉しいです…!これからもさら様をキュンキュンさせられるよう頑張りますね🥰それに2回もコメントありがとうございます!気持ちだけでもとても嬉しいです✨ (2022年10月3日 18時) (レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ホントにいつもたくさんの更新ありがとうございます!!番外編も凄く面白かったです!!榊原くんも格好よかった!!上杉くんにもキュンキュン来てます!!私も星いっぱい押したいくらいです!!でも1つしか送れない!!気持ちはたくさんです!! (2022年10月3日 9時) (レス) @page23 id: f9b4a84be1 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - mokaさん» 届いていたみたいで安心しました🥺 私なんかの小説で清正くん好きが増えているなんて……! 感激です😭 本当に本当に、ありがとうございます! 清正くん出てきたらいいね200回くらい押しますね🥰 (2022年10月2日 22時) (レス) @page23 id: bd8f0e2e75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:moka | 作成日時:2022年9月28日 13時