ここはロマンス大通り【ars】 (ページ14)

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■それもまたひとつのLOVE ページ14

『男女の友情』

そんなモンは、都市伝説だと思ってたんだ。

だって、男女だよ？異性だよ？

二人っきりになったら、何となく雰囲気に流されちゃいそうになったりしない？
友達だと思ってても。

それにさ、片方は友達だと思ってても片方がそうじゃない場合だってある。

高校の頃、すげぇ面白くてノリの合う女の子が居た。
いやむしろ、酷いかもしんないけど俺はその子を女の子扱いしてなかった。男友達の延長。

だから、ニノにやるみたいにヘッドロックしてみたりコメカミを両手でグリグリしてみたり。
その子だって俺に後ろから飛び蹴りして来たりしてたんだ。

だから、想像もしてなかった。

彼女が俺に恋してたなんて。

告白された時、「嘘でしょ？」って言ってしまった俺に彼女は物凄く悲しそうな顔をした。

だって、好きなヤツに飛び蹴りする！？

......でも、彼女は泣きながら俺に「好きだからだよ」って言った。

好きだから、気を引きたかった。

好きだから、友達でも良いから近くに居たかった。

好きだから、ちょっとでも視界に入りたかった。

そして、俺はそれを身を持って実感する事になる。

大好きになってしまった静香さんは、俺を男としてなんて一度も見てくんなかった。

良くて『弟』

それ以上にはなれないって分かっても、諦められなかった。

友達でも良いから、一番近くに居たい。

何度聞いたって慣れる事が出来なかった、静香さんからの恋愛相談。

静香さんの呼ぶ『翔さん』は、俺の言う『翔ちゃん』とは周波数が違うのかな？って位に魅力的で...名前を呼ぶ声だけで、好きな気持ちが溢れるってどんだけ翔ちゃんの事好きなんだよ...って。
そんなに翔ちゃんのコト好きになっちゃってさ。
呆れるよ、ホント。

......なーんて、それは俺か。

どんだけ静香さんに惚れちゃってんだよ。

相談を受ける度に、耳を塞ぎたくなった。

相談を受ける度に、愛想笑いが上手くなった。

相談を受ける度に、俺は嘘つきになった。

『男女の友情』なんて、存在しない。

どっちかが『友達』思ってても、きっとどっちかはそんな関係望んでないんだ。

そうでなくても、きっと男女が二人っきりになったら今後の関係がどうなったって良いからとりあえずヤっちゃおうとか思うんだって。
絶対。

だって、そんな話いくらでも聞いた。

『男女の友情』なんて、都市伝説だ。

俺は、本気でそう思ってたんだよ。