明日のFools -2-《ars/s.s》 (ページ1)

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Scene6 グッバイマイシーズンページ1

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ギリギリ桜は間に合わなかったようだ。

今年の冬は寒かったからだと天気予報は告げている。

一割ほどしか咲いていない桜の花が最後のホームルームが行われている教室からも見えている。

「…卒業かぁ…さみしくなるな」

教卓に立った大野先生が珍しく泣きそうに目を潤ませていた。

それを見ていたらつられてこちらまで泣きそうになってしまう。

最後のホームルームが終わると、生徒たちはみんなあちこちで写真を撮り始めた。

大野先生もその輪に引っ張り込まれている。

それを机に座って眺めていたら、前の席にどかりと潤くんが座った。

「お前はいいわけ」

「うん、別に」

「あっそ」

「潤くんはいいの？」

「興味ねぇ」

「ふふ、そっか」

私も私なら潤くんも潤くんだと思うけど。

こんな潤くんだからこそ私なんかと幼馴染でいられたんだと思うとありがたい。

潤くんは私を放っておいてくれない人だ。

昔からずっと、変わらずに。

「外出ようぜ」

「そうだね」

潤くんと一緒に教室を出る。

あちこちでお別れムードが漂っていてちょっと鬱陶しい。

私は腕時計を見た。

約束の時間まではまだしばらくある。

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