remember 7 ページ9
学校が終わっていつもの帰路を歩き、電子パネル前に場所を陣取るキッチンカーへと目指せば、そこには草薙ともう一人。同じ制服を着た少女が立っていた。
｢んー…どれも美味しそうだなぁ｣
｢嬉しい言葉をかけてくれるな嬢ちゃん、どれにする？｣
｢じゃあ、無難にレギュラードッグのセットで。飲み物はオレンジジュースでお願いします｣
｢了解、あ。遊作、おかえり｣
遊作がただいま、と草薙に返すと、今しがた注文をしていた少女。Aが遊作を見て首をかしげた。
｢藤木くん｣
｢谷町、お前……｣
｢昨日藤木くんにホットドッグ分けてもらって、何だかホットドッグ食べたいな〜って…。だから、帰り道のここに来たの。藤木くんは？｣
｢お、なんだ。遊作の知り合いか〜、遊作にも一緒に弁当を食べるガールフレンドが…｣
｢違う｣
草薙の揶揄うような声に遊作が眉間を寄せて、否定をすると草薙はにやにやと笑った。自分がこんな風に草薙に揶揄われることは滅多になく、気恥しい思いをしているとAがくすりと笑う。遊作が首をかしげて、不満げにAを見れば彼女は笑って遊作に答えた。
｢藤木くんもこんな風に怒ったりすることあるんだね｣
｢……俺をなんだと思ってる｣
｢あぁ、気分を害したならごめんね。ただ、羨ましいなと思っただけだよ｣
遊作がむっ、と顔を顰めるとAは慌ててそれを否定する。草薙がAに遊作の学校での様子に話を繋げると、彼女は笑って草薙へと言葉を返した。
｢とっても優しい人だなって｣
｢へぇ、遊作がねぇ……｣
｢ふふ、いつもポーカーフェイス？なんですけど、ノート運ぶの手伝ってくれたり、お昼分けてくれたり｣
｢ほー、それは意外だ。お昼ってことは、俺の弁当か｣
｢あ、藤木くんが食べてるホットドッグ。ここのだったんですね、めちゃくちゃ美味しかったです｣
草薙が出来立てのホットドッグを包み、袋に入れてオレンジジュースと一緒に渡す。Aがそれを受け取ると、嬉しそうにまた来ますと帰っていった。草薙は未だに、にやにやと遊作を見つめている。遊作は仏頂面で草薙の方を向いた。
｢今度あの子と一緒に来いよ｣
｢やめてくれ、草薙さん｣
遊作がふいっと草薙から顔を逸らす。
優しい人、Aが言った言葉が頭から離れない。
気恥しく、ざわざわとする気持ちに訳が分からず遊作は胸を抑えて、ほんの少し。首をかしげた。
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暁(プロフ) - とても面白いです!!次の更新楽しみにしています!! (2019年10月8日 12時) (
レス) id: dd077ce83e (このIDを非表示/違反報告)
はな - 続き読みたいです！面白かったです (2019年4月16日 1時) (レス) id: 87d0cab806 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナコ(プロフ) - 続き楽しみにしてます！頑張れ〜恋愛一年生、遊作！ (2019年4月6日 21時) (レス) id: c6a15fa920 (このIDを非表示/違反報告)
しゅりんぷ(プロフ) - ねこみこさん» コメントありがとうございます。お返事が遅れてしまい申し訳ありません。とても嬉しいお言葉ありがとうございます、ご期待に添えるよう更新頑張ります。 (2019年4月1日 1時) (レス) id: a80e55b6ef (このIDを非表示/違反報告)
ねこみこ(プロフ) - とても面白いです更新頑張ってください！ (2018年7月3日 22時) (レス) id: 185c2ad794 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅりんぷ | 作成日時：2017年9月22日 17時
