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remember 20 ページ22

いつも通りのキッチンカーの中。モニター前に腰掛けた二人にAiはもう一度朝と同じことを説明する。草薙がひとしきり笑った後、確かに…と真剣な声色で話を繋げた。

「ジャービスはアバターを数所持しているのか、確かに証言が合わないわけだ」

「証言?」

「あぁ。昔、ジャービスが野良で情報売買していた時な。その時、周りのジャービスの容姿の情報はいつも違ったから、そうか…アバターを……」

『それなりに所持しているらしいぜ。一回使ったら消すのが自己流なんだとよ』

「アバターを一回使えば消す、ということはあいつはIDも複数所持して活動しているのか」

「まぁ、それが妥当だな」

ネットの世界で身バレを考慮するのは誰とて当然のことだ。特に、このDen Cityではネットワークが広く普及されている。誰もが探しているものが簡単に現れるのであれば、誰も探したりなどしない。ジャービスという存在は、正しく存在するが存在しないものへと姿を変えていた。

『君たちが望むならどんな姿にだって変えてあげよう』

軽いと音を立て話題のジャービスからメッセージが届く。どうせ、聞き耳を立てて会話に参加してくるであろうと予想していた遊作はそれに驚きもせず、すんなりと会話を続ける。Aiは昨日ぶり!とクスクスと笑っている辺り、ジャービスの事がよっぽどお気に召した様だ。

『Play makar、君はどんな子が好みなんだい?今度はその理想図に姿を変えてみようかな』

『遊作の好み〜?こいつ女に興味なんて…あっ!』

「何だAi、遊作の好みに心当たりあるのか?」

「おい」

『谷町Aとかいうカワイコちゃん。お前の…』

「黙れ」

「あー、あの子か…なるほどな〜」

「やめてくれ草薙さん」

いつもより不機嫌に。だが、その中に照れも混じった遊作の表情と会話にジャービスからのメッセージが止まった。三人は不思議そうに顔を合わせる。ジャービスに何かあったのか、遊作がはてなマークを思い浮かべて、メッセージを送り返そうとした時、ぴこん!と音をならし画面に文字が表示される。それは、ジャービスからのものだった。

『ごめんね、心配したかい?ちょっと飲み物をこぼしてしまってね。片付けに取り掛かっていたのさ』

なるほどと納得した彼らはそれ以上ジャービスに疑問は表さなかった。だが、3人は知らない。


画面の奥、顔を真っ赤にしたAがこぼしたいちごみるくで床をピンクに染め上げていたことを。

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設定タグ:遊戯王 , 遊戯王VRAINS , 藤木遊作   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - とても面白いです!!次の更新楽しみにしています!! (2019年10月8日 12時) (レス) id: dd077ce83e (このIDを非表示/違反報告)
はな - 続き読みたいです!面白かったです (2019年4月16日 1時) (レス) id: 87d0cab806 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナコ(プロフ) - 続き楽しみにしてます!頑張れ〜恋愛一年生、遊作! (2019年4月6日 21時) (レス) id: c6a15fa920 (このIDを非表示/違反報告)
しゅりんぷ(プロフ) - ねこみこさん» コメントありがとうございます。お返事が遅れてしまい申し訳ありません。とても嬉しいお言葉ありがとうございます、ご期待に添えるよう更新頑張ります。 (2019年4月1日 1時) (レス) id: a80e55b6ef (このIDを非表示/違反報告)
ねこみこ(プロフ) - とても面白いです更新頑張ってください! (2018年7月3日 22時) (レス) id: 185c2ad794 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しゅりんぷ | 作成日時:2017年9月22日 17時

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