026：ふたりごと、なら ページ27
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ダイキと私は
手を繋いで同じ方向を見ながら
ずっとたわいもない話をした
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お互い仕事をはじめる
きっかけ、だとか
学生の頃に
流行ったこと、とか
どんなお酒が
好きだ、とか
話しているうちに
太陽は少しずつ沈んで
どれくらいだったか
わからないけど
日差しも
少しずつ優しくなってきた
．
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「……そういえばさ」
ダイキ「ん？」
「なんで源氏名と本名同じにしたの？」
ダイキ「あー、なんか考えるのめんどかったから」
「嫌じゃない？お客に本名で呼ばれるの」
ダイキ「一応、源氏名はカタカナだからいいかなーって」
「そういうもんなの？」
まぁな、って
優しく笑いながら
ダイキは、まだ前を見ていて
ダイキ「本名の漢字、気に入ってるからさ」
「漢字……、へぇ」
ダイキ「んーと、」
掴む手に伝わったチカラを
確認するように
その方向を見上げた
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ダイキ「大切な貴方、って書いて……大貴」
「……、」
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途切れた言葉を繋ぐように
もう一度
そのチカラは強くなって
ダイキ「……そろそろ次行くぞ、次！」
その向こうに負けない
優しい笑顔で
「あっ、うん……」
私を連れて
来た道を引き返した
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ダイキ「よし、出すよ？」
「はーい」
ダイキ「(あなた)、今だけだからな？」
「……え？」
静かに車を走らせると
ダイキは私の頭に
手を乗せた
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ダイキ「……なんか思うこと、あるんだろ？」
「あ……」
ダイキ「独り言でいいから、話した方がラクになるなら話せよ。黙って前みて運転してっからさ」
ハンドルを握り直した手が
やけに、頼もしく見えて
「ん……」
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ダイキ「ひとりごと、より……ふたりごとの方が話しやすいんじゃない？」
促される空気にのって
ぽつり、ぽつりと
確認するように
私は、話し始めた
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作者名：▼SOLA | 作成日時：2019年4月3日 11時
