憑かれて疲れて ページ11
はぁ、疲れちゃったな…。
教室に戻ればみんないなくて、ああ、次は美術だ、と重い腰を上げる。
お弁当は片付いていて、可愛い桃色のメモ帳に
『伊之助が全部食べちゃった!!』
と、我妻くんの女の子っぽい丸い文字が載せられていた。
それにきゅん、としてしまう。
どうしよう、重症だ。
美術室に向かう最中、ずっと頭の中は我妻くんだった。
一歩踏み出す時も、日直の号令がかかるときだって。
胸のドキドキが止まらなかった。
我妻くん、どうしたらいいの。
「んじゃー、相手の顔面、顔面を派手に描け」
「「「えーっ!」」」
「文句あんのか」
そうして私が妄想している間に話は進んでいたようで。
みんな相手、ペアの顔を描くらしい。
私は我妻くんの顔を描くことになって。
「じゃあ、描くね」
「うん、カッコよく描いてね!」
ニコニコする我妻くん。
我妻くんは何もしなくても格好いい。
「我妻くんは、何もしなくても格好いいのに」
と、口に出てしまい、はっと、口を押さえる。
バレてない…?
我妻くんは下を向いていたけど、何故かすごく嬉しそうだった。
我妻くんは、すごく繊細で、言葉で表せないのだ。
琥珀を透かしたような、そんな光がふわふわと髪に当たる。
睫毛は黒いのに、金髪なんだ。
眉毛いつも下がってるんだ、かわいい。
唇、案外ぷるぷるしてる、女の子みたい、
我妻、くん、我妻くん。
君に、君に触れたい。
こんなにも誰かを愛しいと思うのは初めてだった。
我妻くん。
「あっ、その、Aちゃん!近い、近いよ!!」
そう言われて気付く。
みんな集中していて気付いていないし、教室も騒がしい。
そして自分の体勢に気付いてどきりとする。
我妻くんを近くの机に追い込んで、足を我妻くんの太ももと太ももの間に押し込んでいるのだ。
二人で黙って見つめ合ってしまう。
「その、Aちゃん、俺の推しだから…我慢できない、かも」
我妻くんは下を向いて、絶対唇柔らかいって!なんて呟きながらオロオロしだした。
我妻どうしよう、一日でこんなに距離が近くなるなんて、どうしよう、勘違い、しそうだ。
我妻くん、許して、これは、事故だよ。
転けた振りをして、我妻くんを机に押し付けた。
我妻くん
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いぬお(プロフ) - 歩美さん» 自分でもちょっとこれは…と思ってたのでそのコメント嬉しいです。ありがとうございます! (2019年12月22日 21時) (レス) id: 5294fb0fb4 (このIDを非表示/違反報告)
歩美(プロフ) - ほんとにほんとに面白くて大好きなんですけど、急に手のひら返してきた善逸君に腹立ってしまいました。。。(笑) (2019年12月22日 18時) (レス) id: 8624416025 (このIDを非表示/違反報告)
いぬお(プロフ) - らむねさん» ありがとうございます励みです! (2019年12月2日 20時) (レス) id: 5294fb0fb4 (このIDを非表示/違反報告)
らむね - いぬおさん» 完結おめでとうございます。いぬおさんの他の作品も大好きです!これからも応援しています。 (2019年12月2日 17時) (レス) id: f563d201f9 (このIDを非表示/違反報告)
らむね - 樋口です。さん» 文句ないであります!隊長!(私はコンクリ抱かせて東京湾に沈めました。) (2019年12月2日 17時) (レス) id: f563d201f9 (このIDを非表示/違反報告)
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