風柱とズルい継子の関係。【不死川実弥】

42.数え間違えていました。 ページ42

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援護こそ継子の花道！さぁ、師範やっちゃって下さい！後方で控えていれば、舌打ちした後、師範はお得意の稀血で鬼を悩殺する。←


「猫に木天蓼、鬼には稀血…」


『師範におはぎ』とは流石にこの状況では言えず自分の中だけに。


師範の腕から血が流れると、鬼は顔を紅潮させ、荒い息遣いでダラダラと唾液を垂らした。


「一度嗅いだら忘れられねぇだろ？存分に味わせてやらァ！」


刹那、地面が食い込む程踏み込んだ師範は鬼に向かって刀を振り上げた。


申し分ないスピード、鬼は反応出来ていない。



獲った＿＿＿＿



そう思った瞬間。

「血鬼術」




私たちはこの鬼の血鬼術をきちんと理解していなかった。
この数ヶ月で月の満ち欠けで体の大きさが変わるものだと思い込んでいたから。



『師範っ！』



空中にいる師範の身体がどんどんと小さくなっていく。
これでは頚筋に当たったとしても斬れない。



それどころか…


「ククク。落ちて来い。これで俺はもっと強くなる！」



大口を開けた鬼から師範を守る為に踏み込んだが、駄目だ。



＿＿＿間に合わない！



『師範＿＿！』

「チッ…！」



師範は鬼の口に軽く刀を当て、流しながらくるりと体を翻した。小さくなっても師範は師範。身体能力抜群だ。


良かった…いや、まだだ。すぐに避難させなくては！急ぎ師範の首根っこを掴もうとしたが、軽くいなされ、師範は小さな体で鬼に立ち向かった。


『何やってるんですか！ちびっ子師範！兎に角隠れて！』

「うるせェ！どんな状況だろうが鬼目の前にして背中向けれるかァ！」

『一旦引くのも戦略です！とりあえず、ここは私がやりますから！』

「迷いがあるヤツにコイツは斬れねェ！」


テメェだけは失いたくねぇ。
呟くような小さな声はしっかりと届いた。
その瞬間、鬼は師範に向かって鋭い爪を振り上げた。




師範、私もです。
親も兄弟たちも。
上官も、同期も、後輩も。
大切な人を目の前で沢山失いました。




もうそんな思いは…
師範だけは失いたくありません。




頭で考えるより体が動いた。音と色を無くした世界は周りが遅く感じ、急所がいつもより大きく見えた。
指先まで研ぎ澄まされた感覚に抗う事なくソコへ刀を振り下ろす。




＿＿＿ゴトン…




地面に落ちた頚が転がり、漸く斬った事を自覚した。
そうして、50体目だと叫び続けている爽籟の声が入ってきた。



え、待って。50体目…？



あれ？もしかして私…
鬼を倒した数、数え間違えてた…？(白目)




あさひ

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