14. ページ15
.
「お久しぶりですねぇ、不死川さん。」
おばあさんが実弥さんに話し掛け、実弥さんがそれに答える。
会話が始まるのだろうか…長いのかな…早く食べたい…
みたらしを目の前にお預けさせられるのか…と二人を見れば、実弥さんはブハっと吹き出して、食えよォ、と笑った。
初めてちゃんと笑った顔を見た。
意外と笑うと子供っぽくなるんだな。
笑っていれば怖くないのに…
もしも、鬼がいなければ…
ふとした時につい過ってしまう無意味なもしも話。
続きを考えないように、視線をみたらし団子に移し、実弥さんを待っていようと思ったが、私の正直な手は胸の前で合掌し、お口はイタダキマス、と告げていた。
話し込むのかと思っていたが、おばあさんは次に来たお客さんの所へ行ってしまった。
これで気兼ねなくみたらしと向き合える!抹茶を一口含んでから、お待ち兼ねのみたらしを口に運んだ。
一口口にすると口内で広がる甘じょっぱい特製ダレ。
咀嚼すると、程よい弾力と決めの細かいもちもちとした食感。
『な、なんですかこれ!!!めちゃくちゃ美味しいじゃないですか!』
興奮気味にそう言えば、だろォ?と、実弥さんは自分のおはぎを私の皿の上に乗せた。
『みたらし団子があるのでいいですよ!実弥さんが召し上がって下さい!』
「コッチもいけっから、食ってみろよォ」
みたらしで十分だと言うのに…気乗りしないが、折角のご厚意…
そして、頂いたのだから…
名残惜しいが致し方ない。
お皿の上に乗った串を一本取り、物々交換だと実弥さんのお皿の上に乗せようとするとそれを断り、私の食べかけた串の方から一つだけみたらし団子を食べた。
…………えー、、
不死川さんってそういう事する人なんだ…
ギャップがありすぎるだろ…と私の視線が冷ややかなモノになった。
「…お前、ガキかよォ…」
『え、』
ついてる、そう言って実弥さんは自分に口元を指差した。
ハッ!ベタな事を!このパターンは知っている。
ついてんぞ、からの指で掬ってのペロ、だろ!
させるか!私はそんなに安い女じゃない!
「……何やってんだァ?」
『え、あ、いや…いないいない、ばぁ…?』
「…」
ちり紙を渡そうとする実弥さんに対し、顔の前で腕を交差させ、防御した私。
勘違いも甚だしく、恥ずかしさのあまりついた苦しい言い訳に更に恥の上塗りをした。
くっそ面白くない返ししちゃった!
本日2回目。穴があったら入りたい。まさにそれである。
幸いにも掘り下げて来ない不死川さんにホッとしながら、ちり紙を受け取った。
.
370人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あさひゆうひ(プロフ) - 京華さん» ナニシテンノ?おめめ心配。寝ろ寝ろ寝ろ。 (2月5日 5時) (レス) id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 初コメント失礼致します(いやこれ何でコメントしてないの?え?読んでたよね?と困惑。バグってんの?まぁいいや←)一気読みしてしまいました。惚れてくれてる実弥イイ!笑いながら読んじゃいました。眠いのに実弥熱が沸き起こって眠れないけど寝ます。また書いて。 (2月5日 1時) (レス) @page50 id: bb9635485e (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - なおさん» 完結して随分経つ話にコメントありがとうございます!とっても嬉しいです!鴉たち頑張りましたー! (2022年7月28日 23時) (レス) id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
なお - 鴉すごっ!天才やん そしてあさひゆうひさんもこのお話を考えれるなんて天才だよー 天才過ぎてヤバイ 不死川さんたちお幸せに!! (2022年7月26日 22時) (レス) @page50 id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - 環さん» 環ちゃん!久しぶり…!まさか読んでくれたとは!!!オチを書きたいだけのお話でした。コメントありがとう!とっても嬉しかったです♥ (2022年4月7日 23時) (レス) id: 9c7376e839 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ